富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ことづてよ須磨帆の浦に船出すと

fookpaktsuen2015-01-27

農暦十二月初八。「携帯をもたない」といふ、具体的には久が原T君と築地H君の矜持に惚れぼれしたものだがH君は電話必携が当たり前のやうな生業もどうにか不携帯で熟してきたが311のときに疎開させた息子の動向が顔本になら上がると知り親のほうが顔本に嵌つてしまつた。最後まで不携帯だつたT君は研究室か家にゐればPCでメール出来るし、外出は観劇かさしづめ深更の遊蕩なので携帯で、なんて野暮。そのT君も遂に陥落でスマホ贖はれた由。古典文学の人なので「須磨帆」か?アタシの周りではこれで不携帯者なし。
白波はたてど衣を濡らさぬはジュクも須磨帆も己がうら/\ (拾遺集、柿人の本歌より戯れる)
▼「仏紙テロの背景直視を」と田原牧記者(都新聞)。パリの風刺週刊誌襲撃のときカイロにゐた牧記者。冷めた印象の埃及人。カイロでも爆弾事件ありイスラム過激派に市民は憤つてゐる、が西欧ではアフガニスタンで米軍機が結婚式誤爆し(パリよりも)多くの犠牲者が出ても騒がぬ。命の格差への違和感。さらに同じ欧州でも2004年のマドリード、翌年の倫敦での無差別テロは犠牲者は今回上回るが今回の方が激しい反応。何故か……欧州の右傾化。言論の自由イスラムの脅威も問題の本質ではない……植民地主義の問題。パリで編集部襲撃はアルジェ移民の末裔。彼らの差別と移民敗訴の空気。この排外が憤る移民の子たちを過激派の囁きに近づける。

事件後の巨大な抗議デモには「私はシャルリ」というプラカードが目立ったが、その安易さが悩ましい。テロが政治行為である以上、それを招いた素地の解剖抜きには再発は防げない。日本でも、その素地が広がる。対岸の火事とは思えない。

フランスで極右といへば国民戦線だが父を襲ひ党首のマリーヌ=ルペン女史が朝日新聞で、二重国籍認めず、グローバル経済より自国尊重(愛国経済!)の日本を理想と賞賛(こちら)。かつては日本の右翼団体と同一視されたが今は晋三の自民党に近い政策の党、と嘯くほど。自民党よりまだ国民戦線のほうが真っ当な普通の党と映るとは……世も末。