富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

海老蔵の五右衛門

fookpaktsuen2015-01-17

農暦十一月廿七日。六本木から日比谷線で銀座。十時半に外交官M嬢と和光で待ち合わせ。三越の地下食品街に下ると「明らかに芝居見物」って客が同じ方向に流れるので後を着いてゆくと亀戸の升本といふ料理屋の出店で弁当売り。この見世だけかなりの行列で、それに並び弁当贖ふ。歌舞伎座横の茜屋珈琲店で四方山話。相変はらず素っ気ないマスターご健在。演舞場。海老蔵の「石川五右衛門」見る。秀吉の寵愛受ける茶々(孝太郎)が夢のなかで五右衛門(海老蔵)と出会ひ受胎、それを知つた秀吉(右近)は激怒するはずが夢の綾瀬の別れで五右衛門が茶々に遺した煙管は秀吉のもので五右衛門は実は秀吉の落胤……とこゝまでは歌舞伎の筋でいゝが茶々は秦那のワンハン(漢の王でワンハン?、獅童)に誘拐され茶々を救いに海を渡った五右衛門はワンハン手下の手にかかる、がヌルハチに助けられ九死に一生を得て反撃。ワンハンとの決闘では朝鮮から満州にまで進撃してきた秀吉に助けられ五右衛門は日本に戻らず、亡くなったヌルハチに身代はり清を興し万里の長城から「絶景かな、絶景かな」と。日本人には誰一人悪人はをらず、極悪非道な秦那征伐、よーやるわ。だうせならジンギス=ハーンの義経伝説も加へ奇想天外な元も清も実は日本人王朝だった!とでもすると歴史修正主義的にウケるのでは。いつの間にか、こんな大物になるとは、で右近の秀吉が上手い。城が船に変はり宮殿が楼閣になる、大道具は見事。松屋古田織部展眺める。M嬢と別れ若松で豆カン頬張る。鳩居堂でお買ひ物。上野経由で自宅に戻る。母と妹と蕎麦「だぼう」に飰す。酒は飛露喜、早津浦の純米。自宅に届いてゐた金森徳次郎の「憲法随筆」美和書房、「憲法遺言」学陽書房少し読む。