富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

我坐上了大埔開往旺角的紅VAN

fookpaktsuen2015-01-07

農暦一月十七日。「今年の株価2万円にらむ」と日経。年末が楽しみ。大埔から久々に旺角往きの赤ミニバスに乗る。運転手も客もファンキーで暴走ぎみの運転に「この連中と一緒にあの世には逝きたくないわなぁ」と思つたら陳果監督の映画『我坐上了旺角開往大埔的紅VAN』思い出す。さういへば、あれ続編も作るはずだつたが、だうなつたのかしら。晩に頂きもので五戸は菊池秀造商店の南蛮味噌を舐めて日本酒を飲む。
▼香港政府の政治改革答申で「市民共同願望是按照<基本法>和人大決定落實普選」(基本法全人代常委の決定した普通選挙実現が市民の共同の願い)と宣ふ。普通選挙実現は願望だが「全人代の決定による」ではないだろ。香港大学の調査では市民の34%は人大の決定は撤回すべきでない、それに対して撤回すべきが36%である。
▼数年前に(と思つたら、もう10年以上前だつたが)香港IDカードがスマートID化されたと思つてゐたら今度は2018年目処にRFID仕様のものに変へる予定だといふ。蘋果日報が、この超スマートカード登場で市民の行動まで監視される、と報道。Radio Frequency IDentifierとは「ID情報を埋め込んだRFタグから電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によつて情報をやりとり」(ヰキペディア)できるさうで米国の指導のもとBiometricになつた日本のパスポートにもすでに、このRFIDのISO/IEC 14443のTypeBなる規格のものがついてゐるが(パスポートの真ん中の厚いカードのなか)、この規格での読み取り距離は数センチ程度ださうで市街地のセンサーや衛星から行動が監視されることはないといふ。
▼「隣人と認め合う努力」と題して池澤夏樹氏の文章(朝日新聞)より引用。

民族という概念は一方で結束によって力を生み、他方で敵対関係を作る。要するに徒党なのだが、それぞれに歴史があり、互いを認め合うには努力が要るが、努力はいつも足りない。イスラエルパレスティナは最悪の例だ。
我々日本人はそんなことを何一つ知らないままやって来られた。異民族である隣人との応対を知らずにきた。自分たちと異なる人と接する訓練をしてこなかった。だから現在に至るまで難民をほとんど受け入れていない。
日本国内にも、数で言えば少ないが他者は居る。国とは本来そういう多元的なものなのだ。
それがわからないから札幌市議会議員金子快之さんはアイヌの存在を否定し、在特会のみなさんは朝鮮半島系の人々の存在を否定し、安倍政権とそれを投票で支持した有権者自民党小選挙区で二四パーセント、比例で一七パーセントを得た)は米軍基地が集中する沖縄の負担を平然と無視する。
先住民であるアイヌに対して、武力を背景に併合した朝鮮半島から来た、ないし呼び寄せた人々に対して、太平洋戦争で十五万人の死者を出した沖縄人に対して、我々には倫理的な負債がある。