富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

クレーグマン教授、晋三に会ふ

fookpaktsuen2014-11-06

農暦閏九月十四日。散髪。佐敦のバーWで独酌ののち尖東の五味鳥。福島S氏と飲む。特急ひばり、急行まつしまの話。特急ひばりが当時4時間15分で仙台、同じ時間で急行まつしまは福島だつた、と。S氏と別れ尖沙咀の「酒血」で一杯。久々にフィールドワーク、とバーTで啤酒飲んでからバーBへ。ワイルドターキーとタンカレーでフランシス=アルバート。続いてタンカレーグランマニエとドライシェリーのJFKと飲み、カクテルといふのはつくづく味ひ深いものだと思ふ。
中島岳志『アジア主義 その先の近代へ』(潮出版)について築地のH君←金澤より古巣に戻る、がうまくまとめてゐるのを読む。戦前のアジア主義の流れが戦後の右翼にはない消滅したか。第一に戦前戦中においてすでに王道を唱えつつ覇道に走るという実践上の破綻をしおおせてしまったから。第二に近代批判のロマン主義が成り立つような歴史的段階をすでに通過してしまったから。中島さんが第3の理由にあげたのは、「心情と思想が一体化するようなつながりを出会いそこねた」点で、ここでのみ思想的にも実践的にも乗り越える可能性が残されていることになる。
といふコメント読み感じたことは①支那においては王道と覇道の乖離は二千年くらゐ前に破綻してゐたこと、②ロマン主義毛沢東思想で一網打尽にされたこと(良否はべつとして)、③心情と思想が共産主義革命で(或いは毛派で)一体化したこと(結果は別として)……考へるにつけ支那に学ぶべき点あり。
▼Paul Krugman教授来日で昨日首相官邸に晋三訪ね面談。浜田宏一、本田某の内閣官房参与両名同席。教授は「米欧の経済情勢などについて見解を述べ」「黒田総裁による日銀の金融政策運営を支持する」と語り、日本については「デフレ脱却前の増税の危険性」明言の由(ロイター)。結局のところ先日の紐育時報で教授が自身の日本政府の財政政策批判謝罪は晋三に会ふ前の修辞だつたわけで“I’ll be writing more soon about what’s happening in Japan now, and the new lessons the West should be learning.”って思はせぶりのネタの含みがこれか、と思ふと情けない。このクルーグマン教授の弁舌に晋三は「自分の意見をコメントせず興味深く聞いていたという」(笑)。

アジア主義 ―その先の近代へ

アジア主義 ―その先の近代へ