富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

古い店舗が並ぶ繁華街、旺角……と読売

fookpaktsuen2014-10-05

農暦九月十二日。朝五時過ぎに目覚め六時近くに部屋の窓からバンコク市街の向かふに朝日上るのを眺める。休暇なのだから少しでも長く寝てゐたいが六時半に朝食は年寄り客ばかり。Z嬢は週末マーケットに出かけアタシはホテルに残りプールサイドで読書。プールは川沿ひから奥に3つあり一番奥のプール手前に「Quiet Area」「安静」と表記あり。常識的に、このエリアは静かにプールで過したい人向けなので「うるさくするな」。そこの日陰のデッキチェアーにゐると上海語話す老夫婦登場。声がデカい。困つたものだが本人たちは五月蝿くしてゐるつもりは毛頭ないから困つたもの。アタシや他の客が「静かにビーム」送るが効かない。ジムのトレッドミルで5km走る。三日連続。Z嬢戻り昼にホテルの川沿ひのレストランでペニンスラホテル投宿で初めての館内お食事。Villa Martina Pinot Grigio 2013年。客観的に考えると高湿度で気温摂氏30度、汗をかきながら土濁色の少し悪臭も気になるチャオプラヤー川眺め、その川はひっきりなしに観光客運ぶ艀船ばかりか、けたゝましいエンジン音のタグボートが何艘もの土砂運搬の船を引くのを眺め、そこで食事しよう、といふのだから、なぜこれが旅情なのかバンコクは不思議。午後四時のレイトチェックアウトにしてくれてゐたので午睡。ネットで最近話題のお車手配システム“Uber”使つてみるが一昨日はホテル近辺に一台ゐたが今日はバンコク市内で空車なし。タクシーでスワンナプーム空港へ。Priority Passのラウンジ(CIP)が今まで他で(昔のこの空港で)使つたことのない広さと快適さ。往路と同じプレミアムエコノミーの最後列は椅子を倒すのも気兼ねせず。最近、フライトで、とくに夜の帰路は酒を飲むと疲れてしまつて飲む気もせず。九月よりキャセイパシフィック航空の機内で携帯電話や電子機器類は離着陸時に使用しなければ電源オフまでは不要。香港に到着して携帯開くと丁度、凱旋門賞の結果待ち……で不調伝へられてゐた牝馬トレブの連覇と日本馬三頭の不調。十一年前のロンシャン競馬場での観戦思ひ出す。エアポートエクスプレスで香港站に戻ると中環にはタクシーがあまり入つてこないやうでタクシーはかなりの列。晩十一時半だが中環站まで進み地下鉄で帰宅。荷物があるのでエスカレーターが便利な太古でタクシーに乗り帰宅。空港で着陸から1時間40分かゝり最長所要時間。
トレッドミルで走りながらBBCのニュース眺めてゐるとアンソン陳方安生刀自登場。中国政治専門の英国人相手だが、その方が「中国特有の事情」に多少納得さざるを得ずの立場なのに対して「香港の良心」オバサンは「中国が香港に約束すべき高度の自治が完全に北京の思ひのまゝ!」と徹底した中国批判。1997年には一国二制度の象徴の如く重用された方が(そりゃ董建華の時代に最悪の状況も見てきたのだらうが)単なる反北京ではだうしやうもない。昨日のNY Timesではマーチン李柱銘が「一国二制度の徹底と段階的な民主化こそ香港そして中国の将来にとって有益」と岩波の『世界』のやうな話をしてゐる。ちなみに、この最中にアンソン刀自は倫敦でBBCに出演?と怪訝に思つたがオックスフォード大学だかで母(方召麐)の大規模な絵画展あり開幕式に参加のため予定してゐた渡英だつた由。
▼読売新聞の香港報道が凄い。民主化運動に香港社会の風当りが強まつてゐるのは「習近平政権が香港政府を通じて進めてきた「分断工作」が項を奏しつつあるためだ」って週刊ポストか。さらに「習政権はこれまでも民主派勢力を孤立させる戦術を進めてきた」さうで記事の最後も「習政権が民主派・学生の声に耳を傾けないなら、自らそのリスクを負うことになる」って習近平だって忙しいんだから政権として、そこまで香港対策の細かい策略練ってるヒマなないだらう。せいぜい「全人代常委の原則は固辞、但し相手方利するやうな対処のミスは絶対に避けよ」程度の支持出す程度ではないかしら。この記事、初っ端で「古い店舗が並ぶ香港の繁華街、旺角で」には笑はされた。旺角の中心地占拠で「古い店舗が並ぶ」わけないでしょ。
▼数日前にプミポン国王(86)が38度の発熱のためホワヒンの離宮からバンコクの病院に入院とニュースあり。熱は下がり回復、離宮に戻ると報道あり(翌六日に発熱は胆嚢炎が原因で胆嚢除去の手術と明らかに)。タイにとつて軍政であらうと問題なし。たゞ一つの憂慮が国王陛下にもしものことがあつたあとの情勢不安定のみ。
▼都新聞で本多勝一のインタビュー記事読む。まぁいろ/\若いころからの、往年の「殺される側の論理」ファンなら何度も読んだ半生記だが、記者が朝日新聞誤報問題について質すと、本多勝一は中国での日本軍の侵略も熱心に取材して記事にしてゐるわけだが従軍慰安婦など誤報について「詳しい内容を把握してゐるわけではないのでコメントできない」で済ましてみせた。ご自身もさまざまな天敵との論争のなかで相手の発言はきちんと読んだ上であれ「けして詳しい内容を把握してゐるわけではない」なかで罵詈雑言してゐたやうな気がするが……それが朝日のことになると、これでは一寸ずるいと思へるのだが。