富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

city of darkness

fookpaktsuen2014-09-25

農暦九月初二。二十年前に出版された“city of darkness”といふ九龍城の写真集あり。これは2004年に『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々』といふ邦題で日本でも出版され監修は九龍城の住人でもあつた畏友吉田一郎君(元さいたま市議)。Gref GirardとIan Lambotといふ二人の写真家による此の写真集が今年になつて内容充実させ改訂豪華版出る動きあり四月に何の記事だつたか、それを読み、たゞ応じる出版社なく自主出版の形となり賛同者求めるのがKickstartersといふネット上で映画や新規プロジェクトなど賛同者の資金援助まとめるサイトで、そこで£50Kだか集まつたら出版といふので本に賛同者として名前の入る£48だか寄付。で5月が出版も目標だつたが結果、1300余名の賛同者から£85K集まり目出度く八月だかに出版。九月初旬に賛助者招いた出版パーティあつたのだがKickstarterのサイトとメールちゃんと見てをらず二週間前だかにこの本の送り先伝へ本日“city of darkness revisited”が届く。まぁ充実した写真とデータ、当時の居住者らの証言。これぞ記録。
▼神戸の小学1年の女子殺害。「怖くて」と市井の声。安心して子ども遊ばせられない……昔の隣近所あつた時代ぢゃないのだから。警察と協力して、で今回も犯人捜索の重要な手がかりとなつた街場の監視カメラ網の充実か。とにかく面倒でも香港のやうに親か祖父母、家政婦のいずれか、が子どもたちを学校に送り迎へし遊び場でも誰かがついてゐないといけない。動物だつて子が一人で生活できるまではさうしてゐること。「社会による監視」ではない。社会による監視は自分が監視されること。
江沢民のとびきりの反日につき金子秀敏(日経客員編集委員)が江沢民上海交通大学卒だが入学したのは当時の南京国民政府の建立した南京中央大学で、戦後閉鎖で南京大学に統合されたが南大図書館に中央大学の学制名簿保管されてをり江沢民の名があるといふ。南京中央大学の文系の学生は南京大学に移り江沢民ら理工系は文系の南京大学に移れず理工系の名門たる交通大学へ。南京政府といへば汪兆銘親日政府で江沢民にしてみれば南京の日々は拭ひ去りたい、反日の言説の元はそこに、と……ちと無理もある気もするが興味深い説。ちなみに江沢民の父が南京政府の宣伝部副部長だといふ論文書いた歴史学者は国家政権転覆罪で懲役10年だつた由。
▼今日の左派紙・文匯報には嗤つた。一面はアジア大会での水泳だか「君が代は聴きたくなかった」と奮起した中国選手の金メダルだが二面頁大使つて香港の民主化運動で学生のリーダーする十八だかのお兄ちゃんがCIAなど米国の背景あり、と(笑)。全共闘秋田明大だつて産経新聞にこんな扱ひされなかったぞ。
▼どのような「正義」であれ、「おれは間違っていない」というやつは疑った方がいい。「愛国者」であると自称する連中は「国の正しさ」に敏感だ(だから「正しくない」といはれると攻撃する)。だが、正しくなければ愛せないのだろう。(略)自称「愛国者」たちは「愛国」がわかっていないのではない。「愛」が何なのかわかっていないのだ、とおれは思う。……と高橋源一郎氏(今日の朝日、時評)。
▼ここ数カ月の日本で、もっとも熱心に論じられていたテーマは、憲法改正や反中・反韓、そして新聞の誤報などだった。しかもそれが、日本国内でしか通じない論じ方で議論されている。(略)日本独自なのが悪いとは一概にいえない。しかしそれらが日本の議論の中心だと述べると(国外でこうした)質問してきた側は失望したような表情をする。日本を遠くから見ていると「そんなことをやっている場合なのか」と言いたくもなるからだろう。私もまた、同様の思いを強くしている。「そんなことをやっている場合なのか」。……と小熊英二氏(今日の朝日)。