富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-09-19

農暦八月廿六日。フィリピンから台湾直撃する台風の影響で香港は霧霾甚し。市中靄がかり視界悪し。昼に蘇格蘭独立公民投票否決と速報あり。スコットランド独立否決ですね、とばったり会ったK氏に言うと「えーっ」と残念そう。え、賛成だったんですか?と問うと「いや、これで東北もドグリヅのチャンスあるか、と思ってたもんで」とK氏←青森出身。スコットランドについては「蘇格蘭獨立,像以前的嘉禾,可以脫離邵氏公司,因為那時有電影巿場」といふ陶傑はんのコメントが面白い。スコットランド独立は香港映画業界でショウブラザースからゴールデンハーベストが分離独立したようなもの」と。それにしても独立は極論と思はせといて公民投票の実施は英国政府に認めさせ投票間際の世論調査では賛成派過半数で英国側に蘇格蘭への厚遇など有利な条件引出した上で投票では独立反対が多数で英国に残留……老獪とはまさにこれ*1。さすが。午後遅く上環のDONDONといふ最近評判の四川担々麺飰す。成都だか出身の女将がフランス人だつたかの旦那と切盛り。天気悪化。晩にFCCで香港大のN姐の紹介で音楽学科のイタリア人の(日本語にすると)白赤氏、アメリカ人の日本文学研究者のG氏と四人で会食。イタリア人に文楽や歌舞伎から義太夫の話をされアメリカ人は荷風や花袋、戦後のかなりマイナーな日本映画までこなす。こちらがタジ/\。
▼両陛下戦後70年に当たる来年パラオ訪問の由。晋三が新しい日本と宣はうと陛下の戦争の贖罪、慰霊は終らず。美輪明宏刀自、平和を歌ふ姿勢につき「体験がありますからね。安倍首相も内閣の人たちも戦争体験のない人ばかり。戦争を簡単に考えていませんか。そんな簡単なもんじゃありませんよ」と(朝日新聞)。
▼「どんな精密な理論を作らうと、自然がさうではないといふ事実を示せば、それに従はなければならない」と原子力規制委の島崎邦彦委員長代理。「本当に原発が安いと言い切れるなら電力会社は事故対策費を含む全てのコストを自ら負担して原発を稼動すればよい」と大島堅一・立命館大教授(環境経済学)。それでも原発稼動する理由を明らかに、と……わかってはゐることだが。
▼日経の夕刊だつたか投資欄で広島経済大学の糠谷といふ先生が「不安定さを増す香港」といふ題で書いてゐるのは、ウクライナ問題で金融制裁恐れるロシアマネーが香港に向かつてゐるんださうで、その香港は普選実施要求で政治的に不安定、反中の動きは「特に十歳代の若者で激しい」んださうな。「生まれてからずっと自由な生活を享受してきた若者にとって、香港が中国本土による厳格な管理下に置かれることは我慢ならない」といふ。さうかしら。政治的に多感な学生諸君がマスコミに映るが、それが多数なのか一部なのか、は置いといて反中の動きが十代の若者の間でとくに「激しい」わけではない。世代に関係なくまんべんなく反中感はある(激しい、かだうかは別にして)。「生まれてからずっと自由な生活を享受してきた」のは香港では若者だけでないだろ。それに中共の香港の管理はそんな「厳格」なものではない。で、香港はさういふ状況なので「こうした香港の特殊な環境を踏まえて、今後の投資資金の動きを見ていかなければならない」のださうな……勝手にするがよい。

*1:蘇格蘭公投不會通過,因為英國人很會玩政治,蘇格蘭人也一樣。民意問卷的時候,蘇格蘭人可以個個說要獨立,投票時的取態可以不一樣。除了私隱問題、蘇格蘭人很多想看看首相嚇得面青唇白兩腳顫抖的孫子樣子,也想迫英女皇發言哀求蘇格蘭不要出走。- 陶傑「君子之爭」二十日の蘋果日報