富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-08-28

農暦八月初四。昨日は朝四時過ぎに起きてゐたし晩も宴会だつたので酔つた勢ひで晩十時半くらゐには床に就いたが朝二時すぎにびっしょりと寝汗かき目ざめてしまつて溜まつた針仕事のことなど気になり眠れず。ブランデーなど飲むと目が覚めてしまふと困るので睡眠薬を医者に一錠なら8時間、半錠なら4時間と「本当かよ」な効能聞いてゐたので半錠飲むと20分くらゐで睡魔に襲はれ熟睡で朝の六時半。4時間ぴたりにも驚いたが夢も見なければ何より驚くのは摂氏28度だかで夜風頼りに窓開けて寝てゐて汗もかかぬこと。寝汗は暑さよりも夢見の悪さ等が原因か。欠伸もしなければ肩凝りもなくすっきりと一日を過す。早晩にかなり久々に尖沙咀。先日O氏からかつて広州にあつて何度かお邪魔した輪葉葉といふ焼酎バーの女将さんが尖沙咀で「酒の一滴は血の一滴涙こぼしても酒こぼすな」といふ何とも寿限無な名前の見世をやつてゐると聞き京都B氏と訪れる。途中からB氏知己のF君合流。美味い辛口の日本酒が揃ひ、これまた自家製の酒飲み好みの肴がありぐび/\と四合瓶で4本の大酒飲む。香港空港に着いた知人が飲みに来るといふB氏居残りでお先に失礼。帰りがけにかなり閑かなバーWで麦酒一杯飲みバーテンダーR君と四方山話。
▼朝日の論壇時評で高橋源一郎さんが慰安婦について書いてゐる。

戦後70年近くたち、「先の戦争」の経験者たちの大半が退場して、いま、論議するのは、経験なきものたちばかりだ。紙の資料に頼りながら、そこで発される、「単なる売春婦」「殺されたといってもたかだか数千で、大虐殺とはいえない」といった種類のことばに、わたしは強い違和を感じてきた。「資料」の中では単なる数に過ぎないが、一人一人がまったく異なった運命を持った個人である「当事者」が「そこ」にはいたのだ。だが、その「当事者」のことが、もっとも近くにいて、誰よりも豊かな感受性を持った人間にとってすら「想像の及ばぬこと」だとしたら、そこから遠く離れたわたしたちは、もっと謙虚になるべきではないのだろうか。性急に結論を出す前に、わたしは目を閉じ、静かに、遥か遠く、ことばを持てなかった人々の内奥のことばを想像してみたいと思うのである。それが仮に不可能なことだとしても。

▼中国の経済成長について川島博之(東大、経済学)の「アジアと中所得の罠・下」(日経)が面白い。中国は一党独裁で強力な工業化進め経済発展したが農村部の貧困が相対的に格差広がり、これは開発経済学の語つた経済発展の条件である先進国からの援助、農村開発、民主主義、簾政、人権などを中国の発展は全て無視したもの、と。確かに。これも或る面、毛沢東思想の実践に思へてしまうから。