富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

小さいおうちの夜の片鱗

fookpaktsuen2014-04-04

農暦三月初五日。薄曇。早晩に尖沙咀。Z嬢と太空館。生誕百年となる中村登監督(1913〜1981)昭和39年の松竹映画『夜の片鱗』見る。小津の彼岸花秋日和、1960年の大島渚「青春残酷物語」と「日本の夜と霧」で18歳ながら社会派女優として鮮烈な印象となつた桑野みゆき中村登監督作品は『恋人』や『愛染かつら』あるが、やはり女優としての完成形はこの『夜の片鱗』。相手役のチンピラが平幹二朗。顔の大きさが今の半分くらゐ。非常なチンピラがレコに買春まで強要した上でたまに見せるなんとも無邪気な優しさを平幹二朗がこれまた実に好演。続けて隣りの文化中心。山田洋次監督『小さいおうち』見る。中島京子の原作にあつた、ある種の怪しさ、かなり端折られた感あり。女中のタキ(黒木華倍賞千恵子)が奥様(松たか子)に寄せた想ひ、タキの老後に大きく関はる甥(正確にな妹の孫だから大甥の妻夫木聡)ばかり強調されて原作ではタキにチェーホフ桜の園的に懐く姪の康子の姿など描かれず。さういふ意味では映画化でかなり無難な作品に。それでも、あの時代にこんな日本もあつた、といふ原作の主題は山田洋次的良心さできちんと描かれてをり吉永小百合主演の『母べえ』と同じく日本がけして翼賛的に同一色に塗り固められてをらず、それは今日とて同じこと、といふ主張がかうして海外で、とくに東アジアで多くの観衆の共感を得る、といふ日本としての、あまりに消極的な「ほんの少し」の良心。日本人的には、これに感動してゐるだけではいけないのだが。
▼「安倍經濟學失靈」盧峯(蘋果日報こちら
安倍經濟學登場已經一年多,起首半年的確有點聲勢,也令日本一洗過去近二十年的頽風,添了點生氣。但通過日圓貶值帶來的即時好處已耗盡,日股跌勢也行人止步,其他方面的改革、進展卻沒有跟上來,反而有點倒退的味道。假若TPP及其他開放市場的措施未能迅速有進展,在沒有新動力下Abenomics隨時無以為繼,經濟中興變成曇花一現。