富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-02-03

農暦正月初四。香港で春節連休は三が日だが初三(昨日)日曜に当たつたので代休で四連休。好天の馬鹿陽気。アトで知つたがリパルスベイなど摂氏31度で36年ぶりの猛暑の由。裏山を上る。Sir Cesil’s RideをBraemar Hill方面に歩く。昼にラーメン茹でる。午後遅く太古城に出ると商場は「これでもか」の人出に酔ふ。ふと家電店でBraunの電動の鼻毛剃り購ふ。大学生の頃にポパイだつたかブルータスだつたか雑誌読んでゐてデート必読本みたいな特集だつたがデートのための気配り、必需品みたいなコラムで田中康夫が「鼻毛が伸びてゐては折角のデートも台無し」と若者に(って康夫ちゃんも若かつたが)デートの前には鼻毛のお手入れを!と書いてゐて、それまで鼻毛なんて気にもしたことなかつたが触発され日本橋の木屋「オリジナル鼻毛バリカンロータリーカット」購入。さすが木屋、でまだ現役だが鼻毛の伸びは齢に比例して勢ひづき鼻毛がカッターに噛んだり支障もあり。でBraunの電動のもの。帰宅して試すと確かに上手。たゞ鼻毛は埃など体内に吸ひ込まないためのフィルターの役割してゐるので切り過ぎはよくない。Hugh Johnson’のPocket Wine Book 2014年版も購入。毎年のアップデートのみならず内容が進化してゐるから凄い。晩に豚肉でお好み焼き。大田省一著『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書)読む。「日本人にとって紅白は<安住の地>を見出すためのもの」といふ巻頭に書かれた結論に思はず納得して珍しく一晩で一冊の本読了。終戦後、高度経済成長期、その後の倦怠期、昭和晩期から平成の低迷の時代、今の時代……と紅白がどんな役割経てきたのか、の太田ワールドお見事。幼いときに大晦日、紅白の裏番組でコント55号が「紅白をぶっとばせ」と下らない野球拳番組やってゐて、それをアンチ紅白で見てゐて、といふのも幼い頃から紅白だの巨人軍、自民党が大嫌ひ、紅白が始まる時間もまだ仕事してゐて、とにかく晦日の年越しは家族と、と慌てゝ帰宅した父親にとつて年の瀬の紅白の時間に、すでに陋宅も隣室にセカンドテレビ(小型の白黒)あつたので、それで居間の紅白尻目にコント55号見てゐたら「こっちに来い」とかなりこっぴどく叱られた記憶あり。今も「紅白なるもの」どうしても受入れられず、だが、それもやはり、あの、とにかくコレ=紅白あればいゝといふ安住の気分、何も解決せずとも「これでいゝ」と思ひ幸せ感じる気分、幾度となく紅白で歌ひ継がれる故郷が、すべて「捨てたい」と思ふ、それが自分のアイデンティティになつてゐるからなのだらう。紅白があることも、紅白が好きな人がゐることも、それはそれでたゞ自分にとつてはどーでもいゝこと。それでも、この著作を読むとかなり大部分の紅白のエピソードなど「あった、あった」と知つてゐる、覚へてゐる自分がゐるから、いかに紅白が日本人にとつて大きなものなのか、と納得。但し平成に入つてから、殊にこゝ15年ほどの事象については記述に皆目見当もつかず。冨田勲初音ミクで賢治の「イーハトーヴ」の交響曲が云々なんて記述は何が何か全く理解も出来ず。慌てゝネットでそれを聴いたが冨田御大の創作でも小学生のときに聴いてしまつた!「月の光」「展覧会の絵」「火の鳥」そして何といつても1976年の「惑星」……あの少年時代の感動に比べると「あ、こんなものか」であつた。
▼FT紙の記事、といふか警告“Japan in danger of missing 2020 budget target”(こちら)が出ても(翌日の紙面だが)日経さんの1面は「法人減税の財源に赤字の繰越控除縮小」を政府与党検討、5大銀の最終利益3割増……と相変わらず昼行灯。
▼紐育、倫敦、巴里……かくちの春節祝賀はかつて地場の華僑によるものだったが、これが今では中共仕切り濃厚。
▼「お台場にカジノ、年2千万人集客を」と、リベラルで自民党ではマイノリティの下村文科相の発表(こちら)に新潟M記者が「こんなものに国策で支援するぐらいなら手軽に「英語・中国語・韓国語・タイ語ガイドつき下町パチンコツアー」で十分、と。御意。
▼Japan’s public broadcaster is accused of shifting to the right - NY Times(こちら
▼今日の毎日新聞山田孝男(専門編集委員)の連載「風知草」でNHK会長舌禍取り上げ「どう言えばよかったか」が面白い。Mr. Momiの「政府が右と言っているものを我々が左というわけにはいかない」発言がやたら取り上げられるが会見録読めば、これが「海外向けの発言で尖閣諸島竹島に触れる場合のスタンスを言っているものであり特段異常な発言とは言えない」と。確かに。「冒頭から景気よく暴言並び立てたという感じではない」し、微妙な政治問題に「備えず、問われれば思いつくまま論評し墓穴を掘った」もので、いずれにせよ新会長の軽率さ疑う余地はないが「断片報道の集積が実態以上の虚像を生み国際関係を歪めることもある」。「厳しい籾井批判のかげで(批判反対派から)籾井発言が支持され内閣支持率も高位安定……という構造」の中に我々はゐる、と山田孝男。「対立を超える見識」が要る、それがなければ国際社会の共感は得られない、とその通り。いずれにせよNHKの新会長にそれを期待することは無理なのだが。

紅白歌合戦と日本人 (筑摩選書)

紅白歌合戦と日本人 (筑摩選書)