富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-12-23

農暦十一月廿一日。晴。晝に北角の寿司加藤。知己のT青年をり已に食事終へてゐたがアタシが握り寿司食ひ終はる迄、四方山話につきあつてくれたので彼の分もお勘定。午後遅く落馬洲経由で深圳へ。なにとも霧霾がひどいがウルトラセブン的な夕暮れ。福田口岸に入るなり地下鉄ホームで娘が「おしっこ!」でゴミ箱に小便させる親の姿あり。掃除の者「ちょっと困るわよ」と言ひつゝさせるがまゝ。「これが中国!」と罵詈浴びせる口実になるやうな光景だがチョートク先生曰く四十数年前、東京駅の新幹線のホームで似たやうなショット撮影され、それが西独のSternに掲載された由。ベトナム戦争の写真と同じ扱ひだつた、と。今日、昼間に中環のMTR站コンコースで「しゃがむ男」もゐたが、ふと「しゃがむ姿は格好悪いか」といふテーマで昔、本多勝一がエッセイに書いてゐたこと思ひ出す。アジアで、地面がゆるんでゐたり濡れてゐたり、しゃがむ姿勢は本来、自然の風土に即した体勢である、と。それをたゞ欧米的見方で卑下することの根性がよくない、と。動物的には自然な姿か。そのエッセイの中でだつたか立ち小便も、昔は伊那で田んぼの傍らの用水路でオバちゃんたちもモンペを手繰つて豪快に立ち小便してゐたもの、とか書いてゐたが、小便臭いのは閉口するが個人的に立ち小便ぢたいにはアタシは嫌悪感がない。山などでは平気でする。だがホームで、それもホームから線路になら屋外ならマダしもホームのゴミ箱で底がある筒だと思ふと、そこに小便が溜まるのだから如何なものか、と思ふ。MTRで少年宮。深圳書城。歴史書、それも大時代的な国史の偉大なる中華帝国物の出版多し。旅行ガイドも隆盛の感あり。台湾ガイドに「中国最美的地方」とあり意味深。台湾はやはり中国か。いや、読み方によつては確かに「いろんな意味で」中華圏では一番真っ当な美しい地域かも。かなり精緻な中国公路鉄路地図冊購入。他に見たい本も澤山あるが時間切れ。地下鉄で車公廟。訪問先の教示された住所に誤りあり、かなり時間要し歩いて相手先のオフィス。晩八時まで打合せ。食事でも、と誘はれ大戯院近くの日本料理「魚菜屋」に飰す。盛況。値段も良心的で美味。相手方と別れタクシーで羅湖。夜風浴びつ少しふら/\。奇遇あり。羅湖から半夜三更香港に戻る。本日、倫敦の帽子の老舗、Lock & Hatter(こちら)の冬物の紳士帽入手。
天皇誕生日。陛下昨日の改憲ならぬ会見で今もつて八旬の歩みで最も印象に残るのはさきの戦争、戦後は「平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法を作り様々な改革を行って今日の日本を築いた」と改めて憲法を評価。皇室の立場と役割りにつき「憲法の条項を順守し天皇としての活動を律している。だが国政に関与するのか判断が難しい場合がある」と明らかに晋三の万歳などに対する憂ひ。本当になんて立派な方なのかしら。それにひきかへ首相のなんとも幼稚なこと。