富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-10-07

農暦九月初三。冬迎へる前に北京の大気汚染深刻の由。AQIは最も深刻な6級で指数は431に達したといふ。PM2.5は200を超へ視界は500m下回り庭球の北京オープンも観衆がN95のマスクしてゐるとは。香港も快晴の空に霾るほどではないが朦霧が不愉快。黄昏時に帰宅したが陋宅の鍵を官邸に忘れ私設レスキュー隊到着待つハメに。丁度、岡田屋(AEON)で購ったプレミアムモルツのロング缶と亀田の柿の種ありマンション入り口のテラスで早酒。少し恥ずかしい。マレーシアのニョニャ風ご飯。とらやの羊羹と焙じ茶でしんみりと気分だけでも秋。晩八時過ぎに早寝。
▼新聞の首相動静が好きでよく見てゐるが昨日は京都で国際フォーラムに挨拶ののち午後、APECのためバリ島に向かふ相変はらず絶好調の晋三、都新聞「首相の一日」で国立京都国際会館で府知事、市長ら出迎へ受けて。07:57に「Room C1で」「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」関係者と朝食会、そのあと09:37から「Room 159で」ロシアの副首相と会見、10時に「大会議場で」開会式出席し挨拶。11:55に関西空港……と。なぜ国立京都国際会館の部屋番号までいち/\見せたのか。実は朝日も同様。恐らくプレスの発表なぞつただけなのだらう、が部屋番号まで、がオタクっぽくないか。こゝまで情報公開するならオークラの「山里」も個室番号まで、高級料亭も部屋の名前まで明記してほしいところ。
▼日経夕刊「人間発見」で岩井克人教授の「資本主義」を考え抜く(1)読む。経済学の偉才が自分は「学者として成功したと思っていない」と仰るから謙遜を、と思つたが「失敗例として学者人生を振り返ってみます」と岩井教授。それも笑顔。岩井克人といふと『ヴェニスの商人資本論』(筑摩書房)が1985年。朝日新聞の論壇とかに出る写真がいつも「笑っていなかった」強い印象。新古典派経済学から、それを批判するケインズ経済学の影響を受け新古典派批判で「資本主義経済とは本来、不安定であり、曲がりなりにも安定を保っているのは市場原理に従わない制度や機関が存在しているからだと主張する」のが不均衡動学だが「米国社会の競争の激しさをよく知らなかった」ため「知らぬ間に私の没落が始まり」不均衡動学理論は評価もされたが「学界全体にはなんのインパクトも与えなかった」と仰る。このあとの連載楽しみ。
▼アジアで間違ひなく最も優れた経済紙である(或は、あつた)『信報』は創業者で社主、論説主幹であつた林行止の引退で、それを襲ふのは練乙錚だ、と思はれてゐたが同紙での練乙錚の氣短集など読んでゐると、難しいことも誰にでも興味深く読ませる筆致の林行止に比べ同じく博覧強記ではあるが「佐藤優的に」幾分、密教的で(つまり林行止が顕教的といふ見方も面白い鴨)例へば今日の「心魔鬥.悟.日台韓怎樣轉型」なんて香港政治を語るのに見出しが「尾生抱柱終無女 魂斷藍橋豈有男」なんて、かなりビョーキ。好きだが。