富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-09-21

農暦八月十七日。中秋のあとに控へしは大型の台風。徐々にフィリピン沖より台湾の南掠め香港に向かふ。その影響か酷暑ぶり返し風もなく日ざしぎら/\。中心付近の最大瞬間風速は200km/hからから165km/hくらゐまで低まつたものゝ依然かなり大型の台風「うさぎ」。午前中、ハーバー沿ひを小一時間走る。午後、Z嬢と香港大学向かひの英皇書院(King's College)。2013古蹟周遊樂(Heritage Fiesta)なる一連のイベントで香港の歴史建築に指定された廟やかつての公共施設、学校等の施設開放企画。この香港の名門、キングスカレッヂもその一つで今日の開放日には学校が当然協力する上に学生諸君もボランディアで参加、学校施設案内まで。ご立派。なか/\勝手に見て回る機会もなく今日は貴重。香港の英国植民地的な古典主義建築。今の水準では教室も狭く施設もかなり限界あり教職員の職務環境も恵まれてをらぬが兎に角その風格。かなり暑いが奧林比亞接臣咖啡まで歩き中環の街市で台風前に野菜など購ひ早晩にFCCに夕餉。ステラアルトワ麦酒とBloody Mary飲む。タイ風の牛肉のサラダと白飯。帰宅して一更ながら已に睡魔に襲はれる。
池内了氏(総合研究大学院教授)が「東京五輪への異論」と題して「カンフル効果は一時的」と昨日の都新聞夕刊に。理由は3つ。まずオリンピック誘致のための晋三による核禍隠蔽の嘘。そして晋三の消費税増税の一方公共事業拡大でアベノミクス破綻でも「五輪までは」と強行で「経済活性化のため」と原発推進、「オリンピック成功」口実としてテロ対策で国家治安強化まで憂ふところ。そして3つ目として関東など大規模震災の可能性考へれば五輪投資より天災に強い都市づくりこそ必要と。御意。「オリンピックが終わった後に残るのは廃墟となったスポーツ施設と地震に弱いお粗末な住居、そして疲弊した国民というさまが目に見えるようである」と池内先生。テレ朝ニューステーション「黒澤明 死して15年 直筆ノートにあったメッセージ」で監督の核禍についての記述で「間違ったらおしまいだと云う事に絶対間違いはないなんて云えるやつは気違いだ」とあるが、今、この言葉から、この気違ひで誰の顔が浮かぶか、は明らか。
▼「小津安二郎は六十。吉田健一折口信夫は六十五と六十六。かつて老いの豊かさを説いた文化人の享年である。まだ若いと思うのは現在の視点で、生前の彼らは充分に長命だと見られ、自らもそう振る舞った」と都新聞の大波小波欄(徹)。還暦過ぎた大人が「若い」と見られる時代がおかしい。チョートク先生が上野から両国、深川に歩きOzの生誕地通過。「享年八十かと思ってた。だってメカスは九十で矍鑠」と。確かに。Ozの風体は今の感じではほんと八旬。九旬のジョナス=メカスが吉田健一と同じくらいの齢に見えるから。
▼日経の連載「汚染水クライシス」日経さんにしては原発の負の側面に踏み込んだだけでもご立派。最終回(本日)は汚染水浄化装置「アルプス」の話で東芝の宣伝のやう。「だが、事は容易ではない」「これは綱渡りだ」と某重電幹部は東電の汚染水収束シナリオを疑問視。「もっと早く動かせた」と東芝のアルプス責任者。なぜ今なのか……五輪かよ。「今後30〜40年に及ぶ廃炉は「未知」との戦いの連続。政官民の知恵と覚悟が試される」と日経らしくきちんとまとめてみました、か。
▼「バブルの終焉とともに金融業界は激震に見舞われ多くの同業者が経営破綻し、やがて銀行にも伝播することになる。バブルを生んだ政策も大きな過ちであったが、それを一気に潰したのはもっと罪深い失政ではないか。さらに、失敗を認めず、長年放置した無作為も重なり、財政赤字の累増、デフレの慢性化という日本経済の長期停滞の原因となった。経済のかじ取りを間違うと国が沈んでしまうのだ」とオリックス宮内義彦氏(日経より)。その元凶たる戦後の政権政党に断罪もせぬまゝ平成の浮世でまた夢をみせましょ、とする国民……救われず。