富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

マーチン、おまえもか!

fookpaktsuen2013-04-12

農暦三月初三。夜中にふと目覚め気になつたのは「フォックスの傘をなくしてゐないか?」と玄関の靴箱にちゃんとフォックスの傘が掛けてあり二度寝。七時間も寝たし宿酔ひもないが記憶朧げなのが不愉快で、よく飲み会の翌朝「昨晩はありがとうございました。お会計をちゃんとしたか記憶がないのですが……」とメール回るのを笑つて見てゐるが自分がさういふことにあまりならないから、で偶にかうして記憶朧げだと気持ちが凹む。さらに「なんであんなに飲むのかしら」と自らの大酒飲み恥じるところもあり。
▼香港の行政長官直接占拠につき泛民主派の師匠・マーチン李柱銘が一昨日だつたがマスコミの取材に北京中央が提案の候補者事前選出の段階で選挙委員(1,200名)が一人一票でも最高5名の候補者選べるやうにすれば最低でも泛民主派より一名の候補者選出できるのではないか?と彼なりの折衷案に言及。これに泛民主連中からかなり反発あり。昨日の蘋果日報に「致馬丁:請勿做浮士絀!」(マーチン先生、ファウストになる勿れ、こちら)と天安門事件のときには未だ生まれてゐなかつた二十代の学生がマーチン師諭す文章*1掲載あり。書きぶりが実に見事。さうした非難受け李柱銘は前述の持論につき「我疲倦欠警覺」と失言として前言撤回。……あまりに揺るぎすぎてゐる。
▼2017年行政長官直選につき左丁山氏の「要預知選舉結果」(蘋果)*2秀逸。中国史見ればわかることで、サッチャー首相訪中の前、1970年代中葉には中国は必ず香港回収する、と左先生信じてゐたとして(これは当時のMacLehose総督の新界へのベッドタウン建設も地下鉄計画も新界が九龍と不可分になることからも香港政庁とてもはや九龍新界の分界をば断念したことでも明らか)鄧小平が香港回収をば決定後、唯一の執政党たる中共が中央集権(これは秦の時代からの政治的伝統!)を放棄せず一党専制も1949年から始まつてゐるのだから、それを思へば香港を特別行政区とすることだけでも鄧小平の英国に対する譲歩であり中共は香港の政治操控権を香港の経済的安定と繁栄より重視するとしてをり、言い換へれば中共が中国を管制する限り香港の政治が「鳥籠内の民主」であり鳥籠の大小こそあれ、その籠内の民主は籠主が決めること。2017年の行政長官選挙も直接選挙実施されたとしても一、二名の候補者に市民が投票こそできても、そこに民主派の候補者がゐないことも当然。1992年にパッテン総督は当時すでにこれを見据へ「中國會設計一套選舉制度,預先知道邊一隻馬必勝嘅選舉制度!」と予言してゐるが、これこそ今の中共の意志そのもの、でこれが民主選挙ではないことなど当然なのだ、と。あまりに現実的すぎるが、中共相手に香港で反抗しても相手の神経逆撫でするだけなら敢へて奴隷根性で籠内民主の享受も強かな選択なのではないかしら。

*1:生果日報の同記事テキスト:http://news.hotpot.hk/fruit/art_main.php?d=20130411&s=1&m=&i=&a=1&c=要聞港聞&b=news/art/20130411/18224194

*2:生果日報の同記事テキスト:http://news.hotpot.hk/fruit/art_main.php?d=20130412&s=1&m=&i=&a=1&c=名采&b=supplement/columnist/左丁山/art/20130412/18224663