富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-04-02

農暦二月廿二日。昨日からGastroenteritisの気配あり。今日ひどくなり空港に往く所用あり空港ターミナルのクリニックで診察受けようと思つたが場所がわからず案内所(出発フロア)で1つ下のフロアだからターミナル端のエレベータで下れ、といはれエスカレータで到着フロアに下りるとパブはあるがクリニック見当たらずパブでアルコール消毒もなんなので、よく/\探すと出発フロアは7階、で到着は5階、その間に航空会社のある6階といふフロアあり、ここが7階からはエレベータだけの連絡で(他に職員用階段もあるが)、エスカレーターは5階直行。知己の医者に邂逅。
▼一昨日、母よりメールで小澤征爾さんが水戸芸術館館長に就任(四月一日付)と報せあり。秀和さん、小澤さん……その次を果たしてどうするのか? 著名人の館長も重要だが美術館やコンサートホールで一番大切なのは事務方のトップ、首相官邸でいへば官房副長官。去年の1月、小澤さん休演で秀和さんが客席から「館長の吉田です」と挨拶せざるを得なかつた、あの日にそれを痛感。松本のサイトウキネンだつてポスト小澤は考へただけで萎えてしまふ。戦後に人材はゐないのかしら。戦後69年……いつまでも石原、長嶋、小澤、ぢゃないはず。小澤征爾『ボクの音楽武者修行』が昭和37年……「年代的には」館長は日比野克彦とかの世代でいいのでは?
▼新装歌舞伎座初日。朝から了ひの三部まで通しで見た村上湛君曰く、初日ゆゑほゞ総ての役者が常より立ち勝って出色。播磨屋の熊谷、松嶋屋の盛綱が格別だつた由。先日の毎日新聞の社説「5代目歌舞伎座 芸の力で社会に元気を」も驚いたが今日の朝日新聞の「歌舞伎座再開 伝統の種は尽きねえ」にも口あんぐり。歌舞伎座とは昵懇の朝日ゆゑ祝賀はいゝが「社説ぢゃない」だらう。1面に祝賀記事でも良い。
▼日経に「香港「一国二制度」骨抜き 行政長官選挙、中国「民主派認めず」台湾統一政策にも影響」(川瀬憲司特派員)といふ記事に「 中国政府は内輪の投票で決めた昨年3月の行政長官選挙に介入して当選者を直前に入れ替えるなど「一国二制度」の形骸化が進んでいた」と指摘あり。これを読んで思ふが「一国二制度」なるもの、1997年の香港返還の段階で最初から形骸状態であつたわけで悪くなつてゐるのか悪さの現状維持なのか。アタシは最近、悪い状態は悪い状態で、そのなかで最善を策する了見もたず騒ぐだけ、で状況を更に悪くしてゐるのは北京中央ではなく香港自身なのでは?と保守的に思ふ。同じ記事で「香港の最高裁長官にあたる終審法院の馬道立首席法官も講演で「香港の法制度に懸念を抱いている」と指摘。司法の独立維持への不安も広がっている」と結びにあるが、これは「法制度に懸念」ではなく「法解釈、判決が世論や政治的判断の影響受けることへの懸念」のはず。また馬道立のニュアンスに微妙なところあり、彼のかうした発言をこの記事のここで引用するには如何なものかしら。
▼日経「薄気味悪い心地よさ」は必見。特別編集委員・末村篤氏によるもの。

薄気味悪さの極め付きは異常な金融政策に支えられた世界経済の危うさだリーマン・ショック後の世界を大恐慌から救ったのは米欧中心の未踏の金融緩和だが、緊急避難の出口にいつたどり着けるのか、出口での予想される混乱は制御可能なのか、定かでない。危機の長期化で、新しい思考が生まれている。市場防衛に躍起の中央銀行は、タブーだった有価証券の広範、大量の購入に踏み込んで市場のプレーヤー化しているが、中央銀行の最後の「貸し手」から「買い手」への変質を、政策の進歩と捉える考え方の台頭だ。こうした変化を、資本主義の進化とみるか、堕落とみるかの評価の違いで、現状認識は変わってくる。ガルブレイスは「バブルの物語」で「ユーフォリア(陶酔的熱狂)の芽は経済の繁栄や金融の革新などの新奇性に魅せられやすい人間の心に潜む」と指摘し、過ちを繰り返さないためには「高度な懐疑心を持つしかない」と述べている。PER(株価収益率)や利回りに割高感は乏しく、今の株価をバブルと決めつけるのは早計だろう。問題は金融政策だけでは限界がある実体経済の行方だ。期待が不安をあおる、リフレ政策への懐疑心を持ち続けるに越したことはない。

▼首相動静(1日)午後7時、東京・平河町の中国料理店「赤坂四川飯店」。俳優の津川雅彦氏らとの勉強会。……怖い。