富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-03-22

農暦二月十一日。晩に簡単なトマトとミンチ肉のパスタで2011 Sacred Hill Marlborough Pinot Noir飲んだら大変に組み合せに満足して酔つて早寝。
アベノミクスでのデフレ脱却と景気回復、一番の問題はインフレ前提でモノの買ひ急ぎ。これが無理。円安前提で海外ブランド品の買ひ急ぎ、ワインの買ひ占めならあり得るが、今どき若者ばかりか自家用車も持たずユニクロとコンビニと100円ショップあれば生活できちゃうんだから、アタシたちは。それに欲しいもの、といへばアンティークのカメラやBaccaratのグラス、エボナイトの万年筆……アタシのほしいものはアベノミクスのインフレで値段の上がらないものばかり=デフレでも上がつてゐるのだから。
東京新聞高村薫社会時評「寒々しい被災地復興」拝読。

結局、二万人の犠牲者をだした大災害も、被災地の外にすむ私たちを真に覚醒させるには至らず、国土強靭化と原発再稼働を掲げる自民党政権を早々に復活させた上に、いまや企業から生活者まで、巷はデフレからの脱却の大号令と円安・株高のにわかバブルに湧いているのである。

と相変わらず一語たりとも無駄のない徹底した言葉の重さ。低丁屁(TTP)もさることながら次期戦闘機F35の国内製造部品輸出が武器輸出三原則の例外とされる、といふ重大な判断が官房長官談話といふ形で簡単に「例外」となつてしまふ。「国家の原則を軽んじるという意味で、誠に危うい時代になったと言うほかはない」と。御意。そして薫さんはネットによる占拠運動解禁について「ソーシャルメディア上で政治家と有権者が個々につながったとき、議会制民主主義と政党政治に何が起こるのだろうか」と恐れる。本当にその状況を想像すると怖い。毎月読むのを楽しみにしてゐた高村薫社会時評は今月でお了ひ。残念。
習近平夫人で人民解放軍専属歌手の彭麗媛が夫に同伴で国家主席夫人として外交デビュー。モスクワ空港に降り立った1時間後には中国で彭麗媛夫人のコート、当然コピー商品がすでにオンラインで発売。さすが山寨(コピー)天国とネット上で自嘲的ネタに。
香港大学の戴燿廷提唱の「佔領中環」計画*1がアタシには今二つよくわからない。香港の普選実現や民主政治進歩目的とする行動だが、この実力行使は市民デモとは亦たいろ/\なベクトルも異なり、これは一利もなく思へるのだが。朝日新聞に「公共に主張突きつける「占拠」」といふ記事が興味深い。紐育ウォール街の占拠は富と権力の象徴であるウォール街に「経済的に困窮する人々の姿を目に見える形で突きつける」といふ一つのかなり明確な意思表示はあるが申し訳ないがウォール街で富を扱ふ輩はこんな(本当の貧困層ではなく、どうやら)活動家たちの姿なんて「勝手にやってろ」だらう。香港も「富と権力の象徴」たる中環占拠することで金融都市としての香港に打撃与へるのが目的だといふ。戴燿廷「中環人如何計算「佔領中環」」(今日の信報)も「煽動として」面白くないわけではない。

中環人另一個方法就是防止鎮壓出現。若中央政府對「佔領中環」背後的要求(即引入真普選),是持絕對不能接受的態度,那麼中環人也沒有什麼可以做的,只能無奈接受由鎮壓而產生的損失。但中環人若判斷中央政府是否能接受「佔領中環」背後的訴求,可能還是會看中環人本身的想法才作最終決定,那麼中環人或許可令最終的損失減少,那就是也支持引入真普選。中環人支持真普選並不是基於政治道絀的原則,而是純經濟利益的得失計算。

だが物理的に中環をば占拠することで金融が実際にどれほどの損失被るのか。ネット上で動くマネーにとつて損害などあるのかしら。勿論、政治的に不安定といふ要素は国際金融都市としての香港の地位を「明るい北朝鮮」たる新加坡などに比べ多少低くするかもしれぬ、が。

*1:信報2013年1月16日に掲載された戴耀廷の連載「法治人」のタイトル「公民抗命的最大殺傷力武器」こちら