農暦一月廿八日。土曜日。朝から陋宅にて机に凭る。ラジオI氏夫妻が米国のナッツベリーファームに出かられ当地のホテルには「スヌーピールーム」なる客室あり「寝る前に生スヌーピーが訪問してくれます」と顔本に書込みあり。あたしが幼いとき母に伊勢丹で買つて貰つたスヌーピーのぬひくるみのこと語ると「きっとまゆ毛が濃くて、耳が長くて肩にかかり、首がぐだぐだになって頭が前に倒れているはず………」とI氏。お見事、その通り。当時3600円だつたと思ふのは1ドル360円で10ドルだつたから、とI氏。陽気の所為かしら午後はうと/\一向に本も読めず。辛うじて文藝春秋三月号読む。それでなくても芥川賞受賞作が苦手なのに横書きで意図的に読みづらく平仮名多用の黒田夏子『abさんご』は読むに能はず。早晩にZ嬢と太古のジャスコ改メ(今月朔日より)AEON百貨の山頭火でらーめん食してから沙田。土曜晩の沙田なんて夕食時に避けたのは正解、の難民収容の如き飲食店街眺めつゝ沙田大會堂。ロシア出身の仏印象派、浪漫派得意とするピアニスト、Mikhail Rudy師のリサイタル。幕開けで演奏されたスクリャービンの「2つのダンス」作品73と詩曲「焔に向かって」作品72で、もう「今晩はなんて素敵なリサイタルなのかしら」と感じるほど。続いてプロコフィエフの前奏曲7番とロミオとジュリエットから「街の目覚め」と「決闘」。ストラヴィンスキーのペトルーシュカはルディさんご自身の編曲で「謝肉祭の市 Fête populaire de semaine grasse」「ペトルーシュカの部屋 Chez Pétrouchka」と「謝肉祭の市(夕景) Fête populaire de semaine」から「乳母の踊り Danse de nournous」「馭者と馬丁たちの踊り Danse des cochers et des」と「仮装した人々 Les déguisés」の3曲。これは是非、通しで全曲聴かせていたゞきたかつた。中入り後はアニメーション映像とのコラボでムソルグスキーの「展覧会の絵」。フランス調のアニメーションもさることながら、後半はピアノが下手に弾き三列目の席だつたので目の前でルディさんのピアノに釘づけ。一台のピアノから、一人の奏者からこんなに豊かなさまざまな音色が出てくるなんて……ここ数年で今晩は何とも最良のピアノ演奏を聴かせていたゞいた。帰宅してネットで漁るとiTunesに、この「展覧会の絵」のCDはあつたが、さすがナクソスでこちらにはルディさんのスクリャービンも何曲かあり。
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