富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

日本はもはやアラブの友好国家に非ず

fookpaktsuen2013-01-24

農暦十二月十三日。午前十時のお茶うけに倉敷は錦盛堂の吉備団子いたゞく。子どものころに「桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけた吉備団子〜一つ私にくださいなぁ」でなんて美味しそうと思ったが実際に初めて食して「これがあの吉備団子か」と物足りなく思ったのも正直なところ。だがさすが地元の人は大したもので姫路出身のK嬢は「こゝの吉備団子はやっぱり上品、美味しい」と。吉備団子の味がわからないうちはまだ修行が足りない。晩はうどん煮て食したあとに浅草は亀十のどら焼きも。これは好物。
銅鑼湾の雲呑麺と粥食の老舗利苑が家賃高騰で廃業の由。夕方、小腹の空いたとき、飲んだあと夜中に雲呑麺が格別。間口二軒の店が家賃月額300万円から600万円に。創業から家賃300倍に対して雲呑麺の値上げは30倍。地産は滅びよ。今、確か利苑の雲呑麺はHK$28くらい?(酔つてゐて覚へてゐない)、だとすると開業時はその1/30でHK$1として当時HK$4=US$1=308円だからHK$1は77円。今はHK$30なら300円として日本円では42年間で3.9倍。この77円が安いかどうか。当時、日本でラーメン一杯が96円といふデータに拠れば雲呑麺はかなり割高感あり、だったはず。今では雲呑麺は日本のラーメンの半値、香港の日本ラーメンは高値で雲呑麺の価格の3倍也。
松原隆一郎氏(東大教授)の「インフレ目標皮算用 効果なき政策蒸し返し」(十八日、都新聞夕刊)。バブル崩壊以降の二十年間、政治的には絶えず「悪者探し」が行われ、省庁の看板すげ替えから中央集権批判に至る行革、小選挙区制=政治改革、経済は構造改革……とさまざま改革実施したが景気回復せず「最後に選ばれた悪役が日銀」で「政治の干渉を受けてはならないとする「日銀の中立性」を破ってでも金融緩和を断行すればデフレは収束するし円安により輸出が回復してバラ色の景気回復が実現するという皮算用」。松原先生によればアベノミクスはけして新しくなく2003〜08年の政策の蒸し返し。当時、金融緩和してはみたが投資先が国内になく米国の金利が5%だつたので米国債の購入に資金が流出し円安となり輸出増、だが「問題は輸出企業が得たドルもまた多くは米国債の購入に費やされてん本に戻ってこなかった」ことで、大手企業=財界は喜んだが民草には景気回復の実感もなし。

インフレ目標」説は、お金をより多く流せば物価が上がるという「貨幣数量説」という古めかしい説に「日銀総裁がインフレ宣言をしたら国民はそれが実現すると思い込む」という珍奇な説を付け足したところに新味がある。輸出という外国頼みは途上国のすることだし悪者探しは責任逃れの裏返し。

と指摘は実に妙。
原発のある福島5区で自民候補が当選。得票率も原発維持か推進と思はれる自民、民主、維新で8割、脱原発の未来、共産、みんなで2割。故郷を離れ放射能汚染に怯へる現地の人が「今これらを解決してくれるのは自民だと考えて投票したのだと思う。原発を維持・推進しようとする政党を敢えて選ぶ福島県有権者8割の選択こそ、民意の現れではないか。選挙結果を厳粛に受け止め、福島県民の8対2のリアリズムの分析から始めるべきではないか」。(都新聞十九日投書欄)

この大越某の愚問に対して一つの明確な回答と思えたのが都新聞(十九日)のイスラムといへば、の田原牧記者の記述。「今回の事件では日本人が例外扱いされることはなかった。かつて日本には欧米とは一線を画した対イスラム圏無友好外交の蓄積があった。だがイラク戦争への事実上の参戦など対米追従外交の結果、過去にあった友好の「貯金」はすでに使い果たされている。」とさすが牧記者のご指摘。つまり「丸腰平和論」と嗤はれた非武装中立が立派な安全保障になってゐた事実。