富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Life of Pi

fookpaktsuen2012-12-02

農暦十月十九日。朝いちで病院と注射嫌ひのZ嬢をC医師の診療所に連れていき流感の予防接種。かつては筋肉注射だったが皮下注射のもあるらしく(日本ではずいぶん昔から皮下注射の由)HK$50高といはれあたしは注射好きなので昨日、筋肉注射にしたがZ嬢は皮下に。机に凭り書類整理。読書。晝食後に小布施の栗羊羹と蕎麦茶が感動的に美味。午後遅く太古城の映画館で台湾の李安監督の“Life of Pi”見る。李安監督といへば『喜宴』『飲食男女』は面白かったが、そのあとの作品はあまり好きになれず『斷背山』(2005年)でこんな映画も撮るのだ、と思ったがこれも見てをらず『色,戒』も何だか一寸。 で、この映画も苦手な3Dだしカテゴリー穵で「少年Pi的奇幻漂流」といふ中題、少年と老虎のポスターの図柄からしても「子ども向け」とハナから関心もなったが昨日、新聞眺めてゐたら続けて三つもこの映画に関する言及あり、生と死、希望と絶望、善意と狂気に関するかなり困難な選択が語られてゐて、それぢゃ見てみませう、と。印度でのPiの少年時代、動物園経営することになった家族、離印、船旅まではうんざりとしてゐたが遭難からはなか/\面白い。あ、かういふことで老虎なのね、の話の展開だが結論で「あ、さういふことに」で見終はってからも「自分なら」とかなりいろ/\考へさせられることあり。それにしても3Dで「飛び出す絵本」なのは百歩譲っても海洋や魚、ケダモノ、天空の美しさ見せるのに「これでもか」のCGは食傷気味でうんざり。あそこまでCGに頼らずも、もう少し、せめて『イルカの日』みたいな……と綴っただけであのテーマ曲が流れアタシは啼く……「実写のもつ凄さ」を映画なのだから、映画監督なのだから大切にすべきだらう。CGだ、CGだといふだけで折角の感動が興醒めになってしまふ。炮台山の香港老飯店。今日は澳門ラソンで出場で相変はらず快走の東横K氏がレース後に香港に来られモデルY嬢、Z嬢と会食。ブルゴーニュのAloxe Corton/Tollot Beaut 06年持参したが「レース終はって晝に澳門の葡料理屋で飲み過ぎた」といふK氏だが面子が面子だけに酒肴は注文は我ながら拙からず歓談款語で葡萄酒が15分で空いてしまひ花彫酒も一本。さっと二時間、最後に茶菓で半時間、はお上品。帰宅して日曜の都新聞の楽しみはドナルド=キーン先生の連載、東京下町日記。三島由紀夫の『美しい星』について。1954年11月に歌舞伎座で由紀夫さんと初対面のキーン先生。当然、大成駒目当てなのだらうが昼が「絵本太功記」で高麗屋VIIIの光秀、勘三郎XVIIの光義、秀吉が澤瀉屋IIで大旦那の操。「鰯売恋曳網」は鰯売が勘三郎XVIIで大旦那の丹鶴城の姫。中車VIIIも見たいところ。おそらくお二人がご覧になったであらう夜の部は「廓文章」で勘三郎XVIIの伊左衛門に大旦那の夕霧、高麗屋VIIIが喜左衛門と……垂涎。歌舞伎といへば都新聞にマツミドリさんのインタビュー出てゐたが先月は松島屋の直実代役といふお役いたゞいたが夏から38kg減ったさうで少し端正になったものの「酒が強くなり睡眠が減る」って自慢?……十代で六本木ドンペリ豪遊の嵐君健在か。お父様亡くなったのが40歳、記者に健康に留意が必要では?と書かれる。
▼商人完蛋、公務員完蛋,專業尖子加老練政客也完蛋了。我很想知道,香港究竟還剩下多少沒被開發沒被消耗的政治人才,香港究竟有沒有人才?(梁文道 )
▼地場アパレル大手・ワニのロゴがラコステにそっくりな金利來の社主で全人大常委の曾憲梓(78)が遺産として(約HK$26億)を中共政府に寄贈、と宣はれる。さすが愛国商人……だが寄贈先が革命ならぬ汚職国家なのが何とも。深圳の村官でも20、30億元の悪徳資産家。
▼これも「想定外では済まされないことが亦た起きましたっ!」なのかしら……文科省の「いじめ問題調査」で今年上半期に14.4万件のいじめがあり前年度1年間の2倍で100人に1人、クラスに1人が(……この計算がよくわからないが)この半年のうちにいじめに遭っていた、という。何十年も前だってクラスで数名はいじめに遭っていたもの。