富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

橋下曰く「日本を変えるラストチャンス」

fookpaktsuen2012-06-29

農暦五月十日。朝からQuarry Bayの太古坊で打合せ。こゝを開発のSwire財閥の関連会社なので目の前は「ここが都会か?」と思ふ寶馬山の鬱蒼とせし緑。中環で明日帰国される銀行Y氏に謝辞。昼に尖沙咀のLangham Hotelの唐閣でやはり明日、香港離れる繊維O氏送別の昼食会で末席を汚す。シグナル3。台風、台風と日本人はいふが今回、香港直撃かも知れぬのは熱帯風暴(Tropical Storm)で台風に非ず。熱帯性低気圧が発達しトロピカルストームからが香港では警報の対象。弱い順にトロピカルストーム、強いトロピカルストーム、台風、強い台風、超大型の台風……となる。よつて今日接近するのは大した警戒も要らず。が警報シグナル出るのでやはり皆が浮き足立つ。晩に天后の寺田屋。四名の鹿児島の方の飲み会にお誘ひ受ける。店の名からして密談にはうってつけだが謀議でもなく鹿児島の四方山話。焼酎の話になり焼酎は香港で売れるか、と。売れない、と思ふ。ジャスコでもシティスーパーでも日本酒はかなり評判だが焼酎を「美味しい」と買ひ求める、飲む香港人、中国人をばアタシは見たことがない。ガイジンでは某居酒屋の親方をされる米国人が自分で残つた焼酎をばブレンドしてしまふ達人だが、ありゃ日本暮らしも長く例外。焼酎はアタシらも「美味い、美味い」と飲むが今の焼酎はお湯割りだ、ロックだ、の「飲み易さ」。本当に美味い焼酎は生(き)でじっくりイケるが、香港でそこまでして飲むか、といふと高アルコール度の蒸留酒なら中国には白酒あり。中途半端に焼酎は飲まんだらう、と鹿児島諸氏との結論。ところで沖縄と鹿児島(奄美群島)の境は?といふ話になり鹿児島県の南端は与論島。その先は沖縄本島琉球の勢力範囲の北限はどこまで?と尋ねると度々、琉球王国奄美群島に勢力拡大挑んだが徳之島まで、で奄美大島は本土勢では?と。アタシもこのへんのことになると、かなり知識が疎い。最後は与論献奉の話となり経験者のお二人に話を聞くだけで泥酔しさう。風と雨足が少し強くなるなか帰宅。三更にシグナル8となる。この程度の雨風で日本ならまだ日常生活だが香港はさつさとマカオや離島行きの船が最終便は何時、となり住民は外出控へ、の防備体制は本当に迅速この上なし。
▼香港で新任の行政長官測量梁を論ふパロディで産経新聞号外使はれるのは、やはり江沢民逝去と世紀の誤報ゆゑ。それでも「袁木」って89年の天安門事件から20数年経っても「嘘つき」の代名詞、出歯亀とか切り裂きジャックの如し。
▼東都では首相官邸に反原発の市民デモ。安保闘争以来の光景。
▼明後日の香港返還十五周年記念式典に向け胡錦濤国家主席来港。「団結一致向前看」と宣はれる。これ以外に言葉ないだらう。とにかく問題ばかりだが「一致団結して前を向いていきませう」と、これは香港に限らず中国、そして日本も世界も問題鬱積で何も解決手段など無いのだから、これ以外にどんな言葉があるのかしら。それでもこの言葉ぢたい何も解決策も具体案もないのだが。香港に来ても、この天安門前広場的な軍閲……とほほ。

日本人って一大事になってもご真影とか原子炉とか、三種の神器とか生命よりさういふものを護るのが好き。國體なんて無形だが終戦でもこれが一番大事だったのだし。