幕末太陽伝 - 富柏村日剩

fookpaktsuen2012-04-09

農暦三月十九日。復活祭の連休でせめて今日くらゐは休もう、と路線バスでＺ嬢と海洋公園に往くが萬の人出に入り口で怖じ気づき香港仔から船で南Ｙ島（榕樹湾）へ。蔡記小食に昼を飰す。韮の焼き餃子。排肉飯。洪聖爺海岸まで往復。午後二時半の船のデッキで微睡みつゝ中環。蘋果商店にてiPhone用のジュースパック購入。官邸に往き急ぎの仕事のみ済ませ早晩にＺ嬢と湾仔でもう一度落ち合ひJaffee RdのMang Ambosといふフィリピン食堂。お好みでおかず選ぶセットメニューが今どきHK$28也。芸術中心で香港映画祭の一つで川島雄三監督の「幕末太陽伝」見る。日活百周年記念のデジタル修復版（公式HP）。何度見ても面白い傑作。展開も早いが、この復刻版では音声もクリアで前回まで会話が早いので聞き逃していた、かなりアドリブもあり？、芸達者な喜劇俳優らの面白い台詞が聞き取れると、これがまた抱腹絶倒。フランキー堺28歳、川島監督39歳でこれが撮れてしまつたとは。アタシは「居残り佐平次」の「ひどいやつだ。あたしの事をおこわにかけやがったな」「旦那の頭がごま塩ですから……」のオチがほんと嫌ひだが、この映画も痛快なコメディが畳み掛けるやうに続くが最後の墓地の場面が何とも怖い。墓場から駈けて逃げる佐平次がセット、スタジオを抜け「現代＝昭和三十年代初頭の品川に現れる」といふ川島監督の考へてゐた幻のエンディングであつてくれたら、と思ふ。役者は本当にアタシの好きな芝居上手な（つまり祐次郎は除く、だが）役者がずらりと並ぶが女郎役で左幸子の好演は当然として、あの役に南田洋子を起用して当たつたのは見事。あの映画の主立つた出演俳優のほとんどが物故、今でも現役で元気なのは小沢昭一さんくらゐか。