富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ことぶきの丹下の梅もつぼみ持ちなゐの翌年春もまぢかに

fookpaktsuen2012-02-29

農暦二月八日。早晩に鹿児島O氏とFCCに飲む。フィリピンのサンミゲルの小瓶、キルケニー、青島啤酒ジョッキに二杯。明るい内に帰りませうね、といつてゐたのに話題尽きず〆でBloody Maryを一杯。ぎり/\明るい内にFCCを出てOliver's商店でジャックダニエルとメンソールのリキュール購ひ帰宅。おでん煮て食す。日本は都心も雪。郷里のJ君が彼の邸が庭の雪中梅はまだ蕾ですが大分ふくらんできました、と顔本に載せてゐたので(写真)、思はず
ことぶきの丹下の梅もつぼみ持ちなゐの翌年春もまぢかに
と詠む。「ことぶき」はJ君の名、丹下は水戸見川の旧地名。J君すかさず 我が宿の、冬木の上に、降る雪を、梅の花かと、うち見つるかも と万葉から巨勢宿奈麻呂で返歌、の後、弘道館賞梅花として
弘道館中千樹梅 綈香馥郁十分開 好文豈謂無威武 雪裡占春天下魁
漢詩で。顔本でのやりとりもいゝが出来れば水戸の中川樓の座敷ででも雪見酒も一興。するとJ君が水戸の銘酒「一品」は「ウメもサケ、サケもウメェ〜」なんて駄洒落のコピーを流すなんてことを聞き「一品」といへば東湖先生も愛飲の「甕の月」の吉久保酒造で吉久保酒造の「一品」と「甕の月」に掛け
笠原の水に映るは甕の月 酌して干すは酒も一品
と詠む。「甕の月」は光圀公の笠原水道の水を使つた由。J君も笠原水源をアタシが出したのは喜んでくれたが最近はカラスのねぐらで評判も芳しからず、と上の句を「梅が香の仙湖に映る甕の月」でどう?と。これは素敵。で
梅が香の仙湖に映る甕の月 酌して干すは酒も一品
と合作。いいねぇ、水戸らしい。J君の話では「剣菱」の箱に東湖先生の
傾來一斗劔菱春 衝破愁城鋭有神 莫笑幽齋無四壁 瓢樽自古伴清貧
が載せられてゐるさう。それなのに先生愛飲の「甕の月」が常時販売されてないのはさびしい限り、と。御意。