富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

国会議員にはならない、は公選制で首相か橋下

fookpaktsuen2012-02-14

農暦一月廿三日。曇。香港政府の市民一人あたりHK$6,000の下付金。昨年秋に申請して一向に入金された形跡なくいつたいだうなつたのかしら、と銀行に確認してもらつたら昨年十一月上旬に入金されてゐますよ、と。あらゝ……知らぬまに使つてしまつてゐた。実感も湧かず。今日は危機対応のサテライト官邸候補地で実検。夕方、佐敦で某所視察。昨年鳴り物入りで新築となつた施設だが工事の仕上げに粗さ目立つ。そこに同行の諸氏と北角で打合せ。八十後の若者多いが誰一人としてヴァランタインデーで夕食の予定もなし?と笑ふ。佐敦からご一緒したO氏と天后の寺田屋に飰す。店内はヴァランタインデーのアヴェクで盛況。酒肴はほんの少し。左右の卓で男女の睦むなか焼酎四合瓶一本さら/\と飲み二本目に。さすが鹿児島出身のO氏の焼酎飲む勢ひもなか/\。
▼二大政党への支持低迷。朝日新聞世論調査で民主、自民の支持率が合わせても29%といふ。「民主、自民以外の政党中心」の政権が良いも民主19%、自民21%に対して29%といふ結果で橋下維新の会に衆院での期待が54%と半数越へ橋下の政治手法評価するが実に65%で評価しないはわずか17%に留まる。この国民あつての橋下。国民の民度、身の丈にまさに合致してゐるのだらう。橋下の「船中八策」に首相公選制と参院廃止が盛り込まれてゐるが、その実現のため憲法改正に必要な衆参の賛同を2/3から1/2にと提言するが、この勢ひでは維新の会と「みんな」など愚か者たちで半数の議席数獲得は容易。橋下が朝日のインタビューで「国会議員にはならない」と断言してゐたが、ふと思へば「首相にはならない」とは言つてをらず、憲法改正で首相公選制でいきなり首相か、と思ふとぞっとする。もはや冗談ではないから。そろ/\日本国民をやめることも選択肢の一つとして考へないといけないのかしら。まぁその前に橋下廃止が先決だが。それでもこんな感覚を古市憲寿坊やなんかに言はせれば(週刊読書人二月三日号)

たとえば『世界』(二月号)も「民主主義の再興を!」と言うならば、橋下大阪市長を「言論」で批判して満足しないで、アンチ橋下になれるくらいのスターを作り出せばいいのに。それが「民主主義」ってものじゃないんだろうか。

てなわけで、そんな国民の半数を動かせるやうなアンチ橋下のスターなんて不在だから、結局、八方塞がりで老兵は去り行くのみ。アタシの場合すでに国外退去してしまつてゐるのであまりモノをいふ資格もないのだが。とき/\税関で「海外にお住まいですか?」と尋ねられるが「お仕事で、ですか?」と言はれた時にこれからは「政治的に、です」と答へる時代になるのかしら。
▼古市坊やからの又引きになるが知識人は凡そ傲慢で「さんざん「悲劇」に共感したポーズを取り「希望」語つては一年後くらいには次の「悲劇」に共感してゐる」(開沼博)ださう(同紙)。大江健三郎君の

井上(ひさし)さんの『夢』についても、それを、達成されなかった現実と言い換えることも可能だけど、達成される、達成されないにもかかわらず、我々が抱いた夢そのものに価値があるのではないか。ぼくはそのように考える。現実のあらゆる可能性が活性化された総体としての、夢の表現を忘れないでいます。

なんてコメントこそ確かに、まさに、それ。達成されなくても夢に価値がある、なんて宣つて戦後を過ごしてしまつたのだから困つたもの。それに対して大変立派なのが樋口健二(報道写真)と広瀬隆の対談(同紙)。広瀬は「さようなら原発1000万人アクション」に加はらぬ理由を

鎌田慧さんたちが言うことは全部良いんだけど、最後に「自然エネルギー」を付けるから。今は自然エネルギーは関係ない。「原発を止める」と決めればいいんですよ。その一項がなければ僕は呼びかけ人に入りますよ。生き残るために一番大事なことは原発を止めること。市民がエネルギー問題に口を挟まなくてもいいの。電力会社は電気を発電しなければ食っていけない会社なんだから勝手にやるから放っておけと言っているんですよ。

とこの強さ、明るさ、割り切りの凄さ。同紙の編集後記にあつた言葉も印象的。編集者が「情報が多すぎて何を信じていいのかわからない」と口にすると「私たちは情報とは言わない。あるのは事実だけです」と樋口、広瀬の両氏が答へたといふ。大江先生よりこちらのほうが素敵。