富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

人は自由にならなければ一歩も進めない(川久保玲)

農暦十二月十六日。本日、月本裕兄命日。ご逝去からもう四年に。時代はどんどん不安定な、月本さんが恐れていた方向に不幸にも着実に向かつているよう。こんな時代に月本さんが生きてゐたら何を言はれるか、とブログを読みたいな、と思ふばかり。慌たゞしい一日。晩に自宅で浅蜊のパスタ。一日四回、朝昼晩と就寝前に服薬といはれても夕食後すぐに睡魔に襲はれるアタシは日に三度しか服せず。体調良くないのに、こんな晩に限つて復た階上の夫婦が馬鹿/\しい口論始め甚だ迷惑。
きだみのると著書「気違ひ部落周遊紀行」については書きたいこといくつもあるが時間がない。備忘録的に二つだけ。一つはこれは昭和廿一年に創刊間もない岩波の雑誌「世界」に連載されたもの。またこのきだが戦時中疎開して戦後も隠遁生活続けたのは東京都南多摩郡恩方村にあつた廃寺の医王寺。
▼SCMP神に“MacLehose had mind to use army to quell police - Former governor saw threat of mutiny over corruption probe as a great danger to colony”と記事あり。マ卿の英国の大学でマ卿生前の口述記録内容公開。1971年にICAC創設し香港の公務員、殊に警察の汚職摘発に乗り出したが警察との確執があり1977年暮れに警察が総督に対峙し場合によつてはマ郷は香港駐留の英国軍の導入も辞せず、と。の歴史の「もし?」だが、もし70年代後半で香港で総督軍と警察が対峙するやうになつたら香港返還がまだ具体的に決まらぬこの時期に中共がどう出たか?を考えると面白いところ。
川久保玲女史のインタビュー(朝日)。

すぐ着られる簡単な服で満足している人が増えている。他の人と同じ服を着て、そのことに何の疑問も抱かない。服装のことだけではない。最近の人は強いもの、格好いいもの、新しいものはなくても、今をなんとなく過せればいい、と。情熱や興奮、怒り、現状を打ち破ろうという意欲が弱まっている。(略)ファッションの分野に限らず本当に個性を表現している人は、人と違うものを着たり、違うように着こなしたりしている。そんな人はトップモードの服でなくてもTシャツ姿でも「この人は何かもっているな」という雰囲気を醸し出している。本人の中身が新しければ、着ているものも新しく見える。ファッションとは、それを着ている人の中身も含めたもの。最近はグループのタレントが多くなって、みんな同じような服を着て歌って踊っているのが私には不思議。(略)状況が窮屈であれば自由の意味がわかる。人は自由にならなければ一歩も進めない。(略)新しいこと=自由=前へ進むこと。一歩前へ進めば物事はかなり解決できるもの。

久が原のT君なんてこの川久保刀自の意見に深く同意するところかしら。