富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

美輪明宏の「黒蜥蜴」

fookpaktsuen2011-11-24

十一月廿四日(木)薄曇り。早晩に尖沙咀東より佐敦経て油麻地まで漫歩。久々に美都餐庁に飰す。百老匯電影中心。書店で台湾の聯合文學の最新号購ふ(十二月号からは台北に定期購読申し込み済み)。HK L&G Film Festivalで「羭蜥蜴: 美輪明宏」見る。突然、フランス語のナレーションが始まり映画「黒蜥蜴」のシーンが流れ解説が続く。1968年のこの映画、監督は深作欣二冨田勲の音楽、明智小五郎木村功、そして日本青年の生人形が三島由紀夫、のアレである……が、ドキュメンタリーでシャンソンの舞台から「毛皮のマリー」などの映像、美輪先生のインタビューなど続き「この短編が終はつたら「黒蜥蜴」が始まるのだらう」と思ひつゝ一時間余。で劇場の照明が点く……あれ? アタシのとんだ勘違ひで今晩の上映はこのPascal-Alex Vincentなる監督の撮つたの美輪先生のドキュメンタリー上映(のみ)で映画「黒蜥蜴」は無し。お願ひだから映画のタイトルで「黒蜥蜴」は止しにしてほしい。「蜘蛛女のキス」など造詣深いT君に邂逅。中環の先日偶然に見つけた悪所的香りあり?の中環街市近くの某バーへ。入り口は「え、ここ?」といふやうな秘密扉で呼鈴押すと若い給仕が顔を出しアタシらをば上から下まで舐めるやうに客定めして、中へ招かれる。これでカウンターに美輪先生がゐれば銀座のブランズウイッグだが此処は予想以上にオーソドックスなラウンジバー。酒場としての雰囲気も何組かゐる客も品が良いし階上がウヰスキー小売りなので酒の品数は十分なのだが何処か物足りなく感じるのは昨晩のキーシンと同じ。ドライマティーニ一杯だけ、できちんと帰宅。NHKタモリの散歩番組で荒川放水路の巻を眺める。
朝日新聞でオウム裁判傍聴続けた記者の手記。(最終)

裁判を通じて気付くのは、青年たちのすさんだ心の空洞。問われるべきは、青年たちをあのように跳ね返らせてしまった私たち社会の側のあり方である。
そのことを思うと、気がかりなのは、私たちが事件をきっかけに随分と荒っぽい社会に変質してしまったように思えることだ。人命を軽視することでは同根の犯罪が、あのあと連続して起きたこともあるだろう。再発を恐れるあまり、私たちはこうした「異物」を力ずくで排斥することばかりに夢中になってこなかっただろうか。
人権を言うことがダサイことになり、民主主義は脇に追いやられ、「自己責任」という言葉が大手を振って歩き、社会はますます窮屈に萎縮している。時代の閉塞感はこの16年、大震災を再び経験した今も、強まりこそすれ薄らいではいない。
そのことを放り出したまま、社会に反逆した者たちへの報復として、私たちは本当に、例のない13人もの大量処刑に踏み切るのだろうか。(降幡賢一

まさに戦後のアタシたちはソ連共産主義、オウム、アルカイダ……と敵をば造ることで勝手に社会をば維持してきたが、もう限界をば通り越してゐるのですね、でももう取り返しもつかないくらゐ偽善をば並べすぎた感あり。