富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

炒麺娘を叱る

fookpaktsuen2011-09-08

陰暦八月十一日。白露。何だかあれこれと忙しい今週。晩にかなりの自然渋滞のなかてれ/\と帰宅。ふと思つたが時々、街市の八百屋だつたり工事の非熟練工だつたり突然、日本語で「こっちのほうが甘いよ」とか「ペンキまだ乾かないから」とか言ふ連中がゐるのだが「日本語、上手だね」といふと「へヽ……」ってありゃ学校通つて習ふはずもなく、やっぱり観光ビザで就労ってパターンなのかしら。さう/\、いきなり晩のこと綴つてしまつたが早朝、通学通勤でそれなりに混雑するバスのなかでいきなり「焼きそばを食らふ女学生」あり。二、三人の男子生徒と一緒にバスに乗り最後尾の席で炒麺を喰ひ始めた。公共交通機関で飲食厳禁だが飲み物とかスナック菓子、パンくらゐならアタシも許容範囲だと思ふがマクドナルドの餌食など喰はれるとはた/\迷惑だし、まさか炒麺とは。それも男子生徒が「下午紅茶」なんて飲んで澄ましてゐるのに、そこでズズズ、ズズズと炒麺で強烈に臭い。アタシのすぐ後ろ。振り返って「好臭〜!」と目配せ。だが喰ふのを止めず。まだズズズ、ズズズと麺を喰ふ。アタシも呆れてこの炒麺娘の頭上にある「飲食厳禁」のステッカー指差し「これが読めないか?」と質すが、まだズズズ、ズズズ、と。両隣の男子学生は「かヽはりたくない」と他人行儀。そこでまだズズズ、ズズズ、と食べつヽ「いつも食べてるもの……」みたいな口答へ。だうやらいつも食べてゐるが誰も文句を言はない=食べてもいヽといふことなのか、たヾきちんと説明できない。でも本当に悪いことだとは思つてゐないのかしら。ただ臭くても迷惑なのは事実なので「食べるのを止めないならあなたの学校の校長に苦情申し立て〼からね」と彼女の制服の校章を(実は知つてゐる学校なのだが)見ようとすると炒麺娘もさすがに腕で校章隠す、が食べるのは止めず。これで腕をつかんで無理矢理その校章確認しようとしたりすると女子学生セクハラの変態オヤジで明日の蘋果日報のトップ記事になるのでアタシは隣席の男子学生の校章を確認……しようとするとその男子学生も校章隠そうとしたが両手で胸を覆つてしまひカマっぽい仕草で一人で照れてゐる。いづれにせよバスを降りれば目の前は学校。約束と社会のルールは守らないといけないので早速、昼ごろこの学校の校長に連絡をとる。アタシの感覚だと学校がこんな苦情を受けたら相手には平謝りで構内ではひとまづ注意促す程度で済みさうな気がするが香港の学校は厳しく校長は具体的にどの生徒か特定するために生徒の特徴を教へてくれ、と。その生徒には直接、厳しく指導するし他の学生にはこの学生への指導を戒めにさせる、と校長。今日、数名にこのことを話すと「よく勇気がある」とむしろ驚かれる。苦情は言ひたいが面倒なことにならないか、と思ふかヘンな不良学生で仕返しとか考へないか、と。アタシ自身が思つたのはこの炒麺娘は本当に自分が路線バスのなかで他の客のなかで炒麺を喰つてゐることが悪いことだとはマジに思つてをらず寧ろたんに「変なオジサンに因縁をつけられた」と被害感覚かも知れない、といふこと。いづれにせよ良識的な?アタシはもはや南洋の無人島にでも行くしかないの加茂しれない。帰宅してここ数日お気に入りのイスラム音楽を聴く。隣りの無愛想で一切挨拶もしないオバサンはアタシのことをテロリストだと思ひ始めてゐるかも知れない。漱石的な厭世感に襲はれる。香港電台で今晩はグスタヴォ=デュダメル君指揮で王立コンセルトヘボウ、グリークのピアノ協奏曲(Jean-Yves Thibaudet君)とプロコフィエフの5番の放送があつたのを放送終了後に思ひ出す。
HSBCが香港で今後3年で従業員の1割にあたる3千人削減と発表。グローバル化の結果、全体の平均より収益率低い香港で法務、人事、後方支援を縮小。本当に利益が上がらぬのなら解るが今年上半期でUS$90億の収益。下層中層の行員は首を切りつつ上級職はとんでもない高給……蟹工船なんですよね、結局はどこも。