富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-09-06

九月六日(火)なんだか暑い日が続く。早晩に香港大学。大学前のFreshness Burgerで豆腐のハンバーガー。予想よりずっと美味。大学美術館で Early Hong Kong Travel (1880-1939)といふ展示あり。香港大酒店、Benjamin W. Yim氏とルイ=ヰ"トンのコレクションで今晩が開幕式。内容にはかなり興味あるがかうしたソーシャルイヴェント苦手なアタシ。だがY館長からいたヾいた招待状に敬備薄酌(あヽ漢語の美しさ)とあり英語ではChampagneである。LVが絡んでゐるので、これはドンペリとはいはぬまでもMoët et Chandonくらゐは供されるはず、と見込んで酒客のアタシはしめ/\と三鞭酒に釣られる卑しさ。それに大学側は今が旬の徐立之学長がご来臨ださうで徐学長の尊顔も拝さうと。だが文科系紳士淑女鳩る会場で供されるのはソフトドリンクと葡萄酒だけ。しかも心労甚だしからう徐学長も姿を見せず。お歴々のご挨拶にようやく給仕が三鞭酒のグラスを配り始め、さっそくいたヾいたが給仕に「これ、どの銘柄?」と尋ねるまでもなく鶏尾酒をサーヴするのはペニンスラホテルのユニフォームの若衆で三鞭酒は当然かペニンスラホテルのハウス物。香港での小売価格はMoët et Chandonよりペニンスラ三鞭酒の方がずつと高いのだがアタシは前者の方が好き。さう/\今晩は酒飲みに来たんぢゃなかつた、とY館長にご挨拶して展示物拝見。なか/\面白い。来賓へのプレゼントはLVとThe Peniの大判振る舞ひでLVは世界各地の戦前の有名ホテルのステッカー形どつた絵葉書セットと後者からはホテルのロゴの入つた皮製のスケッチ帳。パンフレットなどに使はれてゐる漢字の「香港」の美しいレタリング、漢字でかうもアールデコにするとは……と驚かされたが、これがほんとに1930年代の、しかも香港のLane Crawford百貨店の使つた意匠だと知つてさらに驚く。展覧を出ようとしたところで香港大のN助教授に邂逅。N女史に誘なはれご一緒されてゐたお二方と高級教職員會処で軽食と葡萄酒。歓談。二更に入り北角行きのバスで帰途についたが小用催したといふ理由で銅鑼湾でバス途中下車してかなり久々にバーS。理研光学のT氏と邂逅。この夏、麻布でチョートク先生にお会いしたときのことなどお話し。隣席に遇した女性が華道専門にされるさうでペニンスラホテルの仕事もあり……といふ話をお聞きして上述の革製のスケッチブックを差し上げる。アタシが所持しても使へさうになくスケッチといふより写真や厚手のものを貼つて膨らんだのを皮紐で縛るやうなデザインはフラワーアレンジされるやうな方が気に入つた作品などの記憶に使はれたら、といふ無理矢理。ドライマティーニとBetween-the-Sheetsで気がつけば三更でご帰宅。