富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

外国人家政婦の永住権について

fookpaktsuen2011-08-27

八月廿七日(土)薄曇。「象のババール」のヴィンテージプリント、これはババールが海のクジラを眺めてゐるといふ巨象と巨鯨の微笑ましい絵、これとプリントの色が抜けてしまつたので私がクレパスで塗り直したキース=ヘリングの複製画の二枚を壁に掛ける。縁装のまゝになつてゐた二枚である。午後遅くZ嬢と西湾河からバスで大潭。大潭のダム畔でAVOHK主催の5kmのReservoir Runあり。スタートで驟雨。気温下がらぬまゝさく/\と5km走る。バスで西湾河に戻りZ嬢がずつと前から一度食したいと所望の景福茶樓。冬瓜牛筋腩煲や鹹魚鶏粒炒飯が殊更美味。明記糖水でドリアンの綿綿冰頬張る。散歩して帰宅。寝台に伏せ時計見るとまだ晩八時半は八時だよ全員集合でまだ志村けん桜田淳子のコントの時間、小学生でもまだ寝ない。結局十時過ぎまで寝台で読書してはゐたが。
朝日新聞等でも記事があつたが香港でフィリピン人家政婦が起こした永住権訴訟について。香港の永住権は外国籍でも合法的に香港に入り七年以上居住し香港をば永久居住地とすれば得られる、と定められてゐるがフィリピンやタイ、インドネシアなどからの家政婦らは例外。あくまで家政婦として雇はれ居住が認められるもので特別扱ひで査証も雇ひ主が取得し転職等が厳しく制限され所得も抑へられ実質的無税。で通常、外国人でも条件満たせば得られる永久居住権がない。数十万人に及ぶ外国籍家政婦の多くは七年以上香港に働くが、もし彼女たちが永住権を得たら一族郎党が香港に押し寄せ大変なことにならう、といふのが反対派。これに対して賛成派もゐてアタシは心情的には国籍や職業にかかはらず条件を満たせば永住権は得られるべきと思ひつゝ「それでも実際には……」とピンとこないでゐたが昨日、アタシの居住地区のC区議会議員(公民党)がこれについての説明チラシがマンションのポストに入つてゐて(日本だとこれだけで違法行為か……嗤)賛成する公民党の主張を説明。それによれば反対派から公民党など賛成派は香港の社会混乱を招くなどと中傷されるが事実は然に非ず公民党は「今回のケースについては」永住権が与えられるべきと判断した由。通常のケースでは七年以上香港で従業する外国籍家政婦たちにとつて永住権申請しても「香港を永住居住地とする」条件が満たせず実質的に不可。それは「出稼ぎ」であり(さういふ意味ではアタシも一緒なのだが)、配偶者や子どもが国の郷里にをり仕送りを続けることは香港で合理的な収入を得て自分と家族を養ふ環境になく、また納税といふ香港では永住権を得る最も重要なファクターを越へられず。……であるから「一般的には」外国籍家政婦でこの永住権取得条件を満たすことは困難。「但し」今回のケースではこの訴訟起こした三名の家政婦は何が違ふか、といへば香港に20年以上居住し配偶者も香港で働き子女は香港出生で香港の学校で教育を受け……と已に本人と家族が完全に香港社会の一員であり他の大多数の外国籍家政婦とは異なる、と。それゆゑこのケースでは香港の居住権が与えられる合理的な根拠があると判断、とさすが弁護士など多い公民党らしい見方。アタシもこれについてはこの説明が正しければ納得。