富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

巴水の大阪天王寺

fookpaktsuen2011-08-06

陰暦七月七日。米国債格付け引き下げ。広島の式典をめずらしくテレビをつけて見る。さぁ今日も暑くなる。港島線の上環異以西延長工事に伴ひ昨晩遅くから月曜早朝まで港島線が金鐘から上環にかけ運行停止。実際の工事は上環だけだが工事中に列車の折り返しが出来ぬため、それを中環で行ふことになるが中環は港島線の上下線が違う階にあるなど折り返し運行に支障あり、また上環に向ふ客へのバスの代替服務が中環では出来ぬため金鐘のバスプール利用とし、荃湾線は平常通り運行のため港島線は金鐘終点として中環に向ふ客は荃湾線上りに乗り換へ、上環に向ふ客は代替バスといふことで、いくら学校が夏休みで通勤客も減る週末の実施とはいへかなり混乱するのでは?と思つたが実際に金鐘での流れはスムーズ。事前に告知が徹底してゐたのと当日の係員かなり動員しての乗客誘導がお見事。この手捌きは日本の地下鉄の狭いホームではとても無理。車内の電光掲示板まで、ちゃんと港島線の行き先で中環と上環が消灯してゐるのには「ここまでするか」と驚き。で中環に思つたより早く往き梁國手に前立腺具合の再診を請ふ。日本はだうだつた、酒は美味かつたか、景気は?と矢継ぎ早に質問あり。円高になつても現状の日本に輸入や外国製品の購買力はないのだから円安で日本の輸出増、外国からの日本への投資、消費が増えることが日本の景気復活には最善などと語らふ。FCCに行き週末の新聞読み。昼になりシャルドネ一杯とパスタの昼餉。Hollywood Rdの額縁屋(燿光玻璃)に巴水の「大阪天王寺」持ち込み表装*1。祖父はずいぶん前に引退し代替わりしてゐたが店番は更にその息子。まだ二十歳そこ/\の彼は巴水を見るなり「日本の版画、ずいぶん古いですね」と。「本物だし」と最近、複製が多いことボヤき画縁の渡邊版画店の印をばしげ/\と眺めてゐる。巴水のこと、新版画、これは昭和二年とあるのは昭和は25を足せば1927年、この銀座の版画専門店は浮世絵でも著名で、巴水など版元として今でも原板から刷りをしてゐること(後摺り)など興味深げな若者に講釈たれるアタシ。何がぢまんしたいか、といへば「でも、これは巴水生前のものでアタシの祖父がね……」なのだが。野暮用いくつか住ませ午後、帰宅。土曜晝の半ドンで中環からは荃湾線に九龍に向ふ乗客に加え金鐘以東の港島線の客が乗り込んだが、これも日本のラッシュに比べればかなり余裕あり。帰宅して机に凭り書類整理など。晩に夏の野菜と納豆でご飯。川口和也「君が代の履歴書」(批評社)少し読む。

*1:こゝに掲載の画像は江戸東京博物館所蔵のもの。原本には当然©Ttokyo Metropolitan Foundationの印刷はない。