富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-07-23

陰暦六月廿三日。大暑。昨日の香港書展に続き今日の午前中は香港大学でSir Davidと四人の書き手による公開フォーラムあり。二日続きで内容が異なるのか、もわからぬまゝ申し込んでゐたが昨晩が冒頭からQ&Aだつたので少なくても同じ話にはなるまひ、と朝から香港大学。陸佑堂。大学での開催で昨日よりstupidでつまらない質問少なし。昨日もSir Davidは好き勝手に「はい、そこの印度人」とか床に坐る若い娘に「質問の時は立て」とかやつてゐたが今日は昨日にも増して「はい、そこのはげ頭」とか言ひたい放題。一人の観衆が意図的にか?壇上の方々が最も好きな(favourite)書き手は何方?と尋ねるとSir Davidが「なんてつまらない質問なんだ、世界中どこでもこんな質問ばかり」と聲を張り上げる。すると尋ねた方が「いや、そうじゃなくてun-favourateな書き手は?」と再び質問すると「なんて素晴らしい質問なんだ!」とこんなやりとりが続く。正直言つて作家がなぜ書くか?なんてテーマぢたい絶対につまらないものなのだが話者が素晴らしいと、あれこれ面白可笑しい話となる。殊にDr Starkeyは白眉、白眉。昼すぎに尖沙咀。ペニンスラホテル。Z嬢とGaddi'sに昼を飰す。ホテルから日頃のご愛顧に感謝して?三鞭酒(Clicquot未亡人)のお振る舞ひあり。ボトルといふが小瓶だと思つてゐたら然に非ず。食前に数杯の三鞭酒ですつかり上出来。香港証券取引業界の鬼っ子David Webbの尊顔を拝す。それにしても客のカジュアル化甚だしく常磐ハワイアンセンターのやうな格好の女性客には言葉もなし。青豆の冷スープと少しの羊肉のとてもあつさりしたソテー。午後遅く帰宅。午睡。午後三時までの昼餉では、といつても量は大したことないのに夜になつても腹も減らず。Gaddi'sからお持ち帰りのケーキほんの少し飰す。ここ数晩、寝際に山上たつひこ「喜劇新思想体系」読んでゐる。卑猥さばかりか盲、奇形といつた差別満載で今なら完ぺきにダメだが今から30年前がなんて自由で開放的な時代だつたのかしら。
▼香港左派元老・吳康民氏に続き香港リベラル元老・李怡先生も次期行政長官に曾鈺成を推すとは(本日の蘋論)。范太、紅酒唐、測量梁の三人の何れが特首になつても最後都會延續曾蔭權的奴性、と李怡。文革曾の奴隷性とは事のつまり北京中央に対する「示愛」。董建華の方がまだ文革曽よりマシだつたのは老董が少なくとも「港人治港」をば確信し何かと北京中央にお伺ひはたてるがたゞ中央の判断を盲目的に追従せず。それに対して文革曽は明らかに「親疏有別」著しく香港の左派に近づく反面、市民の六割の支持を得る民主派と疎遠。その中央に対する服従も(李怡先生も)理解に苦しむのは確かに立法会で反政府派議員が辞職し補欠選挙で民意を問ふ公投は北京中央も快く思はぬ、が特区政府に補欠選挙封殺せよ、と指示したとまでは思へず少なくとも特区政府がこの補選問題につき諮詢不要とまではしてをらぬはず。このやうな文革曽の政局運営が誰にも理解できぬもの。で李怡先生が次の行政長官に求められる条件として挙げるのは、第一に党中央に対する忠誠心、党中央からの信頼。次に香港の利益と一国両制につき北京中央と渡り合う政治力、第三に基本的に伝統的な左派であつても民主派とも良好な関係が保てること。この三つの条件に叶う人物といへば曾鈺成たゞ一人、と。民主派は曾鈺成が中共の隠れ党員でないか、と疑ふが曾鈺成は党中央に盲目的服従してをらず六四の廿周年では(文革曽が六四に対してその後の国家の発展を評価すべき、としたのに対して)曾鈺成は「當年軍隊鎮壓學生的做法是錯誤」と言及してをり香港の世論に近いもの。劉曉波のノーベル平和賞受賞でも測量梁(梁振英)がノーベル平和賞は鄧小平に、范太がオバマ大統領の平和賞受賞を政治的と批判的なのに対して、立法会で民主派が北京中央に劉曉波の釈放求める動議を出した際は議長である曾鈺成は慣例として発言は差し控へたが、この動議に関して立法会での議長役を民主党の李華明に譲つたもの(この動議は否決)。また社民連の黃毓民が立法会で政府の林D9をば「狗官」と罵つた際も曾鈺成は黃議員に対して制裁を見送り、政府の新庁舎に出来る新しい立法会議事堂も工事現場を視察した際に一旦、政府庁舎を抜けてから入る立法会ビルの設計に立法会の独立性に配慮なき点を指摘したのは習近平の「三権合作」に対する異見。……このやうな曾鈺成の姿勢を改めて見てみれば彼が行政長官に適任であるのは明らかで、これに信頼できる政府の元官僚、林煥光、任志剛、王永平、施祖祥あたりを官房、参謀に付ければ最善。「不管你喜不喜歡傳統左派,喜不喜歡曾鈺成,為了香港好,都應支持他參選下任特首」と李怡先生の曾鈺成絶賛。李怡先生、曾鈺成が2003年の50万人デモのときにどれだけあれをば過小評価してゐたか、については言及してをらず。小樽M氏が民建聯で馬力先生が生きていたら、と。御意。

喜劇新思想大系 完全版 上巻

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