富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十六日(水)漸く雨上がる。憂鬱なる所得税申告。今年は日本の震災復興に少し義捐で控除少なからず。(今日の蘋果日報で左丁山氏の連載によれば)香港の人口711萬のうち打工仔(勤労所得者)は370萬、そのうち納税者は120萬で即ち人口の17%、就労人口の32%にしかならず。政府の所得税収HK$44.2bで政府の総税収の21.1%で計算上は所得税納税者1人あたりHK$36,800となるが約10萬の所得税納税者の所得税率は7〜8%で所得税はHK$1萬以下で負担も小さいところ。香港政府は愚策と思ひつゝアタシは香港の低税率で少しの所得税払ふが公共医療にせよ文化施設にせよゴミ収集や路上清掃など恩恵も少なからず納税は納得いくもの。夕方、知己のK女史から電話あり息子が足を挫き骨折したりヒビ入つてなければ良いが銅鑼湾で近くのどの病院に行けばいゝか、と。病院のことならアタシに聞けばよい、と思つたといふのは強ち間違ひでもあるまひ。アタシは年中、通院のイメージか。で自動車を仕立て銅鑼湾に寄りO君を背負ひ車待機のところまで歩き(さすがに30数kgの10歳は重い)聖ポール医院へ。幸ひレントゲン撮影の結果、骨折もヒビもなし。放射線被曝でレントゲン撮影が脚光浴びるが実際どの程度の深刻さなのかしら。ふと思へばアタシは水戸を離れて東へ三里、波の花散る大洗(磯節)東海村原発から十数キロ、実家の裏に原研(日本原子力研究所)の職員住宅団地あり友だちの家にいつも遊びに行つてゐたが当時は放射能漏れなどなかつたのか、かりにあつたとして発表が揉み消されたりしなかつたのか、まさか研究所職員の被曝や自宅へのお土産はなかつたのか……何かしらあつても驚かないくらゐ原子力の「平和利用」開発を信じられもせず。帰宅して豚肉と春菊の白クリームカレー食す。豚肉といへば香港地元の超級市場で牛挽肉に豚肉混入騒ぎ。同じミンチ肉製造機を洗ひもせず使つた結果。アタシには少しくらゐどうでもいいがモスリム者の杞憂はかなり。怖いのは牛肉と思つてユッケならぬミンチ食ひするやうな輩ゐれば生豚肉など寄生虫などリスク高か。晩のHappy Valleyの競馬で馬主W氏のSunny MoreがClass-4の一哩競争で一番人気。期待馬だつたが今一つ伸びず降格でClass-4でHVの哩ならイケるのでは?と強気で賭けてテレビ観戦したら最下位。もう一つだけ馬券買つたClass-3の一哩でChadwick君騎乗のCrown Witness(馬主はSilent Witnessのda Silva氏)が見事なレース運びで優勝。Sunny Moreの負け回収でおやすみなさい。
大江健三郎先生が朝日の連載(定義集)で

私の終わり近い文筆生活で、いまでも国の内外で引用される言葉は「あいまいな日本の私」ですが、まだ収束もおぼつかないのにフクシマを過去の出来事とし、これまでの原子力計画を続けるとすれば、そのあいまいな日本の、次の私たちに、はたして未来はあるのでしょうか。

といつもの回り諄い言ひ回しでいつたい何が言ひたいのかしら。日本代表する物書きなら日本に未来があるのかないのか、あるならある、ないならない、でないならいつたい何が必要と知識人の立場で思ふのか明確に伝へるべきだらうに。
▼「事実」から二ヶ月で炉心溶融「濃厚」とか起きた「可能性」とか東電も保安院原子力安全委員会放射線で脳が灼けてしまつてゐるのかしら。今になつて東電のデータで震災の直後に停電、水位不明、冷却装置作動せず、と発表。朝日は当直員が「必至で復旧作業」と言ふが結果的には「事故現場に閉じ込められ何も出来ず」が事実。台湾の阿里山鉄道事故だつて乗客でももつと事故対応可。