富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-05-10

陰暦四月八日。佛誕。朝六時で気温摂氏24.5度。もうすつかり「もらひ風」の季節でマンションの玄関ドア少し開けておくと同じフロアのご近所より漏れる冷房で廊下から冷気が。これをいたゞく。陋宅の冷房機交換の関係で業者来宅で午前中待機。机に凭りかかり文書整理。昼前に数ヶ月ぶり(少なくても寒くなくなつてから初)で裏山に走る。摂氏32.9度だかで今年最高気温。暑さ、さらに久々に屋外で走つたので(香港マラソン以来初?)ふら/\。走つてゐてゲップがドリアンなのは流石にドリアン好きでも閉口。少しショートカットで90分ほどで下山。ジムに寄り帰宅。夕方、太古坊のEast Endにエール両品脫。Z嬢の招飲受け北角。といつても街市で贔屓の猫(愛称はニョン)を愛で缶ビール購ひ北角碼頭の狗狗公園で夕方に遊ぶ狗眺めビール立ち飲みといふ嗜好。「この時間なら」と早晩に人気の英皇道は奇味小厨に食す。沙薑鶏と焗魚腩で麦酒飲んでゐると(よく麦酒を飲み続けるね、まつたく)窓際の卓だつたが窓を外からコツ/\と叩かれ誰に見つかつたか、と思へば東都は濹東在住のカメラマンM氏と編集者S嬢の二人。さつそく招き入れ夕食の約に向かふ二人と短い時間再会を祝し歓談款語。帰宅してZ嬢仕入れてきた古本で小泉武夫「不味い!」ほんの一篇読み睡魔に襲はれる。
▼蘋果産品への狂気。iPad2の発売で中国内地はWi-Fi +3G型が発売されてゐない?だかで折からの人民元高や関税もあり香港で購入は内地の田舎漢にはお得、で香港で購入してお持ち帰りとなるが関税対象商品で、その結果が「水貨」となり担ぎ屋賑はひあの手この手で香港から深圳への密輸。香港でのiPad2購買のメッカは羅湖(深圳)に近い上水の商場。女子中学生がお小遣ひ稼ぎで放課後にiPad2一台香港側の手配師から受取り深圳に入り指定の引取場所(交通センターにある食堂の厨房裏口……笑)に持参するとHK$100だか至急の由(蘋果)。また上水で未明からiPad2購入の行列に並ぶ十代の若者が赤色の漆喰かけられる椿事あり。この若者が数日前に行列に割り込むだかした廉で同業者?から嫌がらせ。この若者も若者で病院で経過観察の最中に病院抜け出し患者衣のまゝ再び上水に戻りiPad2購入し直後に業者に渡す現場まで新聞記事にあり(明報)。こゝまでして、の狂乱騒ぎ。北京中関村の蘋果商店では並んだ客同士が乱闘騒ぎ、上海では並ぶ客の混乱に警備員(外国籍)が棍棒で客を殴つたの殴らなかつたの、と。で製造する広東省深圳の工場(羅湖からわずか10km!)では最近こそ工賃値上げで従業員の自殺も聞かぬが製造元は薄利で昼夜、人気商品の生産続け(パーツの多くは日本産で販売の巨利は当然、米国の蘋果会社)その製造地元の深圳でのこの密輸狂乱……。当のApple社はマーケティング会社(Millward Brown社)の“the BrandZ Top 100 Most Valuable Global Brands”で1位(前年度はGoogle社)となり(こちら)我が世の春をば謳歌。反面、創業者で代表のスティーブ=ジョブスにつきフォーチュン誌は“Inside Apple”と題して冷徹なる経営者と報告。なんとも世の中「蘋果狂乱」で実際に蘋果産品に囲まれる二十年の蘋果人の一人としてアタシも何もと忸怩たる思ひあり。

不味い! (新潮文庫)

不味い! (新潮文庫)