富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-02-05

陰暦正月初三。晴。朝食のあと雑事片付け旅荷まとめ十時過ぎに旅宿引き払ひ荷物遺し麻布十番商店街。浪花家の鯛焼きはせがわ酒店。亀戸の酒屋で日本酒よく扱ひ東京駅地下や原宿などに支店あり。知己のT君が同社の企画営業担当と聞き連絡もせぬまゝ訪れると出社してをり立ち話で旧交温める。地下鉄で築地市場。センリ軒でカツサンドと珈琲。場外で昆布や海苔、黒豆、ヒジキなど乾物食材購ふ。一つアタシが欲しかつたのが日本酒をばお燗する時の、それを「酒たんぽ」と呼ぶことも今日知つたが一合用のそれも購ふ。築地の吉野家並びの中栄でカレーライス。すでに午後一時すぎで地下鉄で新橋に出てビックカメラでZ嬢の買物済ませ地下鉄で六本木。旅寓に戻り今日の購入品をば旅荷にまとめタクシー雇ひ京成上野まで。15時の成田スカイアクセスに間に合ふか、と恐れたがタクシーの運転手が「秋葉原ホコ天が再開になりましたが土曜日はやつてないみたいですね」と首都高使はず路面で間に合ふでせう、と。皇居お堀端はジョギングする輩多く東京マラソン近し。京成上野のホームでシンガポールに戻られる旧知のG氏にばつたり。成田では小樽M氏、此処でG氏と偶然とはいへ往復とも奇遇。麻布の旅寓からは六本木ヒルズからリムジンバスか、東京駅から成田エクスプレスの方が便利なのだが京成の成田スカイアクセス開通で、どれくらゐ速いものなのか「成田まで40分」体感しようとわざ/\上野経由としたが日暮里の高架のホームにも驚いたが40分は早過ぎ。青砥を過ぎ江戸川渡り北総線に入つてからの速いこと。各座席の電源有り難ひがiPadの充電完了せぬうちに空港着。なぜこの経路のサービス開始が羽田の国際線本格的運行時になつてしまつたのか、が京成の不幸。もつと早く出来てゐれば成田の遠さもだいぶ解消されてゐたのに。成田空港(第二)の元祖寿司で寿司をつまむ。空港なのに格安で而もなか/\美味。CX505便で香港に戻る。この便もかつてはB744で新型シートとか売り物にしてゐたが気がつけば2クラス制の旧型のA330旧正月ゆゑ満席。CXは単年度収益が過去最高ださうだがこれもかうしたコスト削減?の結果なのかしら。かつてはドル箱の香港-成田線も三社のコードシェア便。香港に戻りいつもの如く寝る前に旅荷片付け深更に至る。
▼この日本滞在の間に花村萬月の王国記を三〜六巻まで四冊読む。性と暴力の描写ばかりか「目眩く」の巻では覚醒剤などおクスリでの幻覚の描写も薬師ぶり?発揮しての凄まじい筆致。当世の類ひ稀な書き手だと敬服しつゝ王国記とまで題されてしまうふと、どうしても健次の千年王国マルケスが頭に浮かび、それに比べてしまふと如何せんオウムを経てしまつた当世では主人公・朧に始まる物語が王国の創設とまでには(アタシには)感情的にお付き合ひできない。まだ未完なのだが。大友克洋AKIRA的な危惧も少しあり。それにしても名作としての「ゲルマニウムの夜」の話でこゝまで展開してゆくとは……。

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富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
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