富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-01-13

一月十三日(木)早晩に香港大学の図書館。李光洙(이광수)の「有情」(昭和15年、日本モダン社)読了返却。個人的には物語は苦手な類ひであつた。やはり十六歳の最初の短編「愛か」が読んでみたいところ。図書館のBook Talkで「丁新豹博士による講演「細味東華─追蹤香港近代史」あり拝聴。丁博士には「善與人同 − 與香港同步成長的東華三院」といふ著作があるが、同氏は元香港歴史博物館館長で同館で現在「香江有情:東華三院與華人社會」なる特別展開催中。東華三院が今年、1870年の創設から140周年の由。東華三院についてはこちら参照。香港開闢の頃に西洋医学の病院と診療所がいくつかあつたが華人がそれの恩恵受けることもなく西洋医学もまた華人には厭はれ当時の地元有力者が1870年に東華医院を創設。この場所は太平山街的廣福義祠。先祖祀る祠ながら実際には身寄りなき浮浪者や救はれぬ病の垂危なる病院の居場所となり悪臭漂ひ衛生状態もひどく華人の要望に湯治のマクドナル総督が普仁街の土地と資金も提供したが1890年代の香港でのペスト疫禍では東華医院での中医(漢方)治療に対して政庁の医療担当者がペスト予防と治療に繋がらぬと中医批判。東華病院と政庁の関係は悪化した時期もあつたが、これが契機となり東華病院も西医治療開始。その後、1911年に九龍旺角に油麻地に廣華醫院、1929年には銅鑼湾に東華東院を開設し1931年にこの三病院を統合し「東華三院」となる。今では三病院筆頭に24の医療機関、50校の教育機関社会福祉関係の148施設を有する、香港では保良局と並ぶ一大慈善事業団体。それが年間HK$239mという募金(2009年)をもとに運営されてゐるといふから凄い。講演会場で香港歴史博物館の副館長W君に邂逅。
▼Z嬢が珍しくプレゼントといふから何かと思へばToothpick Birdを貰ふ。もう何年前だつたがタイのホワヒンのレストランでこれを初めて見て以来のお気に入り。
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