富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

尖閣釣魚に日中友好野営場建設を!

九月廿七日(月)晴。腰痛は椅子に坐てうゐて身体を捻ろうとした時など意識してゐる所為もあらうが痛みもなく腰を庇つて椅子こと45度回ろうとした時になど身体は全く捻つてゐないのに激痛が走つたりするから不思議。郷里の母に「ぎっくり腰なんだって?」と言はれ話してゐないはずがなぜ知つてゐるのかしらと思へばこの日剩読まれてゐるからか、と納得。晩遅く帰宅の途中、鞄のほか何か一つ荷物が足りないことに気づいたが何なのか思ひ出せず。数時間前、早晩は確かに鞄の他に何か一つ袋包みがあり何処かに忘れてきたのだらうが、それが何なのか、がどう考へても思ひ出せず甚だ憂鬱。幼い頃から忘れ物多いが忘れ物したことより忘れ物した事実まで思ひ出せてまでしても肝心の物が何かがわからない。本当にこれが老ひか、と実感。暫くして持つてゐたものが夕食用のテイクアウトで、出先で仕事の前に腹ごなしにさっと食べて袋ごと容器を捨てたこと思ひ出す。それぢゃ無いのが当たり前だらう。情けない。余計に老ひを感じる。
▼埼玉のリベラルといへば暉峻淑子刀自(埼玉大学名誉教授)。昨日のだつたか朝日新聞でご本人がおっしゃつてゐたが老人介護、労働と貧困、家庭崩壊、教育問題など苦言呈されてゐたのが1980年代のバブル期だつたが「予言者か」と今になつていはれるほど社会問題が深刻化。確かに当時「左翼だから反体制なのだらう」と見られてゐただけ。あのバブル期のあとにこんな社会問題が鬱積しようとは。この方がドイツとかでなら「普通の常識的で真っ当な意見を主張する中道左派のオバサン」なのに日本では当時、反体制左翼で、82歳になられる今になつて暉峻さんの指摘してゐた問題が顕在化した、と誉められても世の中今更どうにもなるまひ。
▼リベラル良識派であるはずの朝日や都新聞の尖閣=釣魚領土問題での主張も醜悪だが香港で同派にあるはずの信報も今日の社説「主權法理角力衝擊中日關係」は日本がどのやうに尖閣諸島の領有権をどう既成事実化してきたかを詳しく論じ、その点は評価できるが、最後は思ひつきり

面對日本刻意造成「主權事實」的法理戰略,態度強?,中國政府須化被動為主動,在適當時機發表政府性文件,明確闡述中國在釣魚台問題上的立場,向國際社會清楚說明中國對釣魚台的政策及其理據,化解日本擁有「尖閣諸島」主權的言行謬誤。

と中国政府にこの諸島が中国領であることを中国政府は国際社会に向けて政策やその論拠を提示し日本が主権主張することの誤謬を世界に認知させよ、と。信報、おまえもか……。香江第一筆の林行止先生ですら「釣魚台はまぎれもなく中国領」を前提に論を進めるのだから。この尖閣釣魚が本当は中国領なのか日本領なのか、と論じても「たヾそこに古来、島があつた」だけが事実。日本が事実上の領有をしてしまつてゐる現状で日本がそれを中国の要求に応じて領有権放棄することはあり得ず。それを中国領と断定して日本領有が不法と主張してもどうにも埒が開くまひ。領土問題は典型的なゼロサムゲーム。領有権棚上げして自然保全、海底資源の共同調査は進めつゝ島にキャンプ場でも設けて日本と中国の若者の交流の場に。実際のキャンプ場運営とフェリー運輸などは琉球と台湾といふ日本と中国に挟まれた両大国の覇権と領有権主張に苦悩する二地域に委ねる。鄧小平ぢゃないが半世紀もすれば状況もまた変はるだらう。日本は更に社会問題が鬱積し、中国も中共一党独裁で出口なし……では困るのだが。
▼中環湾岸に建造中の新政府総部。今日の明報にその政府総部に隣接する立法会の新議事堂の全貌の紹介あり。本会議場を見下ろす傍聴席は記者席の背後がガラスで仕切られ一般市民の傍聴はガラスの外で野次を叫んでも議員には聞こえず物も投げ入れられず。議事に野次を飛ばしことも物を投げることも妨害であり肯定はされまひが、少なくともそれが紳士的ルールでなくガラスで妨げられてることは深層的矛盾そのもの。さらに立法会議会では議事堂入り口で登院する政府高官らに要求突きつけたりデモ抗議する光景が日常化してゐるが新議事堂は市民の抗議エリアが設けられ、そこに行動が限定され、さらに議事堂からの出口多く市民が議事堂取り囲んだり出口を抑えることも難しく、さらに政府総部に直結の秘密通路もあるさうで政府高官は市民の抗議など受けることなく議会に出入り可。これぢゃ今後も深層的矛盾の深化を期待するしかないだらう。英国統治時代の、24時間門戸開きっ放しで通り抜け自由、週末は駐車場開放の政庁総部が懐かしいかぎり。総督ですら高官連れ政庁から歩いて立法院議事堂に通つてゐたもの。
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