富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十九日(日)朝から昨日、平底漿塗つた壁の皹に紙鑢りをかけ平にして白粉がずいぶんと出るので丹念に掃除機かける。晝にZ嬢とFCCに食す。晝から麦酒(フィリピンサンミゲル小瓶)と白葡萄酒一杯でけつこういゝ気分。帰宅して読書。石垣島あたりから福建省の方に向かふ台風の影響で午前中は心地良いくらゐ風があつたが午後から無風。大気悪化。夕方、康怡の映画館で「囧男孩」見る。光華文化中心提供の台湾映画。2008年、楊雅喆監督の作品で台湾で話題になつたが香港で光華の昨年だつたかの上映見逃す。騙子二號(潘親御)が同級だが身体も大きければ親分肌の一號(李冠毅)との一夏を描く。一號が少し成長して何かの映画で見た、と思つたらオムニバスの「台北異想」で鈕承澤の作品に出てゐて「囧男孩」で成長した二號の役が鈕承澤の「艋舺」でブレイクの阮經天。二號が花屋営む祖母(梅芳が好演)と暮らすのが萬華の新富市場で小学校は近くだと老松國小となるが近所であるはずの一號が精神を病む父親と暮らすのは海岸沿いの苫屋で近隣の風景からして淡水。一號の家庭環境をあそこまで設定するのか、二號も家庭内不和で揉め事多し、で子ども主人公にして「そこまで」といふ批評もあるが「小さな恋のメロディ」だつて社会派映画だつた。一旦帰宅して晩は電影資料館で關錦鵬の1987年の映画「胭脂扣」Rougeを見る。人気芸能人が主演といふ映画見る習慣がなく、この映画も当時見てをらず。大店の御曹司と妓女の二人が死んで生まれ変はつて再会を誓ふのだがレスリーアニタでどこか相思相愛とはとても思へない、どこか冷めた芝居、といふか二人の芸風がさうなのか。それにしても、この映画の15年後にレスリー張國榮アニタ梅艶芳が亡くなるとは。Hollywood Rdの華僑日報の社屋が懐かしい。あのあたりから上環も今ではすつかり夜も賑やか。映画の冒頭、監製に成龍とジャッキー=チェンの名前出ただけで観客の間から罵しりのやうなため息。成龍といへば香港人憧れの大スターで李嘉誠といへば香港の経済成長の象徴だつたが前者は舌禍、後者は「仇富」で嫌はれもするとは。


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