富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

やっとスコール来る

fookpaktsuen2010-08-07

陰暦六月廿七。立秋。なんだか体臭が魚醤臭いといふか指を舐めるとフォーのスープの味がするやうな……ここ数日、化学調味料もたっぷり。ハノイの朝、五時半ならまだ静か。五時四十五分にリハーサル始まり六時にはもうオーケストラが演奏始めるやう。天気は少なくともアタシがハノイにゐる四日間、スコールの一つもない。乾燥で市中がやたらと埃っぽい。昨日は晝は暑くなつたが晩は観劇のあと湖沿ひを歩きホテルに戻るが汗をかくどころか涼しいほど。なんて気象なのかしら。朝七時にはホテルで朝食。朝なのに読む新聞もないのが寂しい*1。九時過ぎZ嬢と旧市街を北へドンスワン市場の方に漫ろ歩く。Long Bien駅へ行くと45分待てば一つ先=終点のハノイ行きの列車が来る。午前中に二本しかない!列車の一本目。市内のかなり密集地をまるで都電荒川線のやうに走るので面白いが本当にハイフォンからの列車が定時で来るか、時間弄ぶなら良いが今日はホテルのチェックアウトもあり一寸、余裕がない。いづれにしても窓口で「ハノイ二枚」と求めたら「はぁ?」と驚かれるだけだらう。]品川から東京駅まで山手線(ハノイでいへば路線バス)が数分置きに走つてゐるのに日に数本の新幹線に乗るやうなもの。バスでDuong Thanh街。三日前の昏刻に麦酒が美味かつたCua Hangの路上ビアホイで麦酒二杯。Bát Đàn街49番のフォー屋がすぐそこだがZ嬢は最後にもう一度、ホン街市に近いLu Duc通りのPho Thinのフォーが食べたいといふ。同感。地図を眺めるとこの近くを走る23系統といふバスがかなり市街西をぐるりと回遊するがかなり路地をぐる/\と目がまわるほど回ってホン街市近くに行くのだが面白そう。実際にこの23系統はかなりバス好きにはたまらない乗車。45分くらゐ。こんなずっと乗つてゐる、しかもアタシが地図を見ながら真剣に路線を読んでいるから車掌に笑はれる。Pho Thinのフォーを再び堪能。美味。歩いて市中心に戻りKem Trang Tienのアイスキャンデー頬張りホテルに戻りプールサイドで午睡。増田彰久著『建築のハノイベトナムに誕生したパリ』をバンブーバーの書架に置いてくる。荷造り済ませ15時にレイトチェックアウト。ロビーで寝てゐる西欧女あり*2。★★★★★ホテルも難民収容所の如し。ホテル裏のカフェ(La cantine)で読書。須賀敦子はやはり読めぬ、とさつさと諦めミランクンデラの『存在の耐えられない軽さ』(集英社文庫)読み始める、とようやくのスコール。オートバイにはみんな合羽が仕舞つてあり一斉に雨のなか朝顔が咲いたやう。幸ひ雨も止みベトナム空港オフィスまで数ブロック歩き空港行きのバスに乗る。客が揃ふまで40分待ち。空港タクシーは旧敵$12が相場だといふが$8で行くといふ車もをり。バスは$2(ドン払ひだと30千ドンでUS$1.6)なので二人だと$3.2なら$8でタクシーでさっと空港へ往くのは高くない。がアタシらは急がないしバスと決めてゐたので。19:50発予定のドラゴン航空のフライトは往路のフライトが遅れた関係だかで30分遅れ。香港に着いたら大雨で雷雨警報発令中。空港全体で飛行機から預け荷物卸す作業中断してをり荷物預けたアタシらのやうな何でもかんでも機内持ち込み強請らぬ善良な乗客足止め喰らふこと45分。雨に濡れた荷物受取り半夜三更過ぎにやうやくAirport Expressで空港を出る。

建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ

建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ

 
存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

富柏村サイト www.fookpaktsuen.com
富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/

*1:例へば今朝のViet Nam News紙の一面トップは The Party committee for the National Assembly's office must continue to guide Party cadres and members in carrying out their tasks well to help build a socialist state of the people, by the people and for the people. ってモンティパイソンなら新聞を燃やすだらう。

*2:ホテルでのマナーの悪さといへば昔は日本の団体旅行、今は大陸の田舎漢想像するが実際に最低なのは欧米客もどつこい/\。[喧騒では中国人、TPO弁へられず水着姿で、しかもびちょ/\に濡れたまゝでホテル館内を練るやうな馬鹿さ加減ではアメリカ人、鳩まつて屯ろする邪魔は日本人、欧州も最近は海外渡航の田舎漢多し。