富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

北越河内に遊ぶ

fookpaktsuen2010-08-04

八月四日(水)晴のち河内は午後雲多し。早朝に窓を開けるともう秋がすぐそこまでと感じる。朝も5時半くらゐまで暗い。Z嬢と朝七時前に香港空港。今日から越南に遊ぶ。二年ぶり。二年前は西貢からダナン(會安)、ダナンから河内と列車でゆっくりと旅したが今回は河内のみ。ラウンジで朝食に魚蛋河粉を食し初めて空港内に浮き島の500番台ゲートにバスで移動して十数年ぶり?のDragon Airで一路、ハノイへ。査証免除だと入国カードも不要の簡素化に敬服。旅券のデータ読み込みしてゐるのだから。空港から白タクは避けるとして空港タクシーもあるのにベトナム航空(といふことになつてゐるが委託)のエアポートバス利用。客がそれなりの数になるまで二十分ほど待ち一時間弱でハノイ市街へ。料金はD30千だがUS$2はちょっと割高なのでZ嬢がドンで払つたら車掌といふか職員と地元客が「外国人なのにドンで払うよ」なんて話してゐる(何となく広東語に近いので少し聞き取れる)。原則はホテルまで送つてくれるといふが西湖のソフィテルプラザのところで鯔背で英語巧みな若衆がバスに乗り込みホテルはどこだ?と「親切に」乗客に尋ねる。一組すでに通り過ぎてゐるシェラトンの大陸客がをりシェラトンに一旦戻りまた市街に向かふ。アタシらにホテルは?と二度も聞くのでソフィテルのメトロポールだと答へるとナントカ街で下ろすから、そこからタクシーで、タクシー料金はキロ何ドルだ、とか宣ふのだが、どうやら慣れぬ客を適当に唆してタクシーやホテル、先の切符手配などする代理店の便乗商法と察し相手にせず。残りは地元客の若い女性二人と西洋人の一組とアタシらで旧市街のHang Giay街あたりの小さな旅行代理店の前に着くとアタシらに「着いたから降りろ」と言ふ。どうやらそこがこの空港バスの営業をベトナム空港から下請けでしてゐる代理店のオフィスらしい。もう一組の西洋人は、その勧誘に乗つて下車。このバスが市中心部のベトナム空港オフィス近く迄行くことは知つてゐるわけで「初めて河内に来たんとちゃうわ、もう何度も来てるんやで(ホントは二度目だしハノイ空港からのバス利用は初めてだが)。愚図/\しとらんとはよバスを出してな!」と告げるとお兄ちゃんも太々しそうに諦める。これが白タクや個人営業のバスならまだしも一応、ベトナム空港のエアポートバスといふことになつてゐるから慣れてゐないと、この代理店の便乗商法に引っ掛かり高いタクシー代を払う羽目になる。はとバスのようなのやうな市内観光を経て*180分で市の中心部、ベトナム空港オフィスに到着。乗る時は親切だつたバスの運転手は荷物を下ろすのを手伝ひもしなゐ。こゝでまたタクシーが客待ちしてゐるがアタシらがショボい客だと見限られたらしい。数ブロック歩いてソフィテル河内メトロポール(こちら)。二年前は舊館のかなり広い部屋であつたが今回はCX(國泰假期)のパッケージで新館のスタンダードのはずが案内されたのが請ひてもをらぬのに旧舘のツインにアップグレードは有りがたい。下榻。ちょっと遅めの晝餉。ホテル裏手のオーラックカフェで済まさうと思つたら更地になつてをりPane e Vinoでピッザ食し赤ワインをグラスに一杯。Trang Tien街のKem Trang Tienでアイスクリーム頬張る。となりの骨董時計屋に少し埃かぶつた懐中時計がある。主にRolexでコンディションからして二流品の扱ひだらうし偽物とはいはぬが故障で改造などされてゐるかもしれぬUS$140は相場より0が一つ足りぬ。Patek Philippeの地味な懐中にちょっと惹かれる。US$120にする、といふので更にUS$20負けてよ、といふと主人は「商売にならない」とボヤくが傷物を「売れない」で置いておくよか、で応じぬわけでもない。US$100なら真価でなくとも勉強代だと思へば高くない。US$100は持ち合わせぬので、またアトで。ホテルに戻りプールサイドで読書。築地のH君がけっこう面白かつたと言つてゐた中島京子『小さいおうち』読み始めるが微睡んでばかり。最初の数章読んだだけだが四十代の作者はまぁまるで見たように戦前の雰囲気を良く書いてゐるが嫌みがない。ちょっと結末を予感させながらの書きっぷりも面白い。夕方ちょっと喉が乾きウヰスキーソーダ注文すると「カクテル?」と給仕君。ウヰスキーソーダはカクテルぢゃない、と思つたが面白さうなのでYesで待つと供されたのはライム入りのロックグラス。うーん、ウヰスキーにライムシロップを混ぜソーダで割りライムを添えた一品、ハイボールの流行でライムハイボールとか呼ばれてゐさうだがライムシロップで甘くしてしまふのが東南アジア風。これは夏によろしい鴨。早晩に出街。ホワンキエム湖の畔から大教会の方へ。晩六時の鐘が鳴る。Nha Tha街でZ嬢お買い物。路上のカフェで皆さん夕方の一服(朝からカフェで寛ぐ人は多いのだが)。大改修中のハンザ市場からDuong Thanh街を歩きCua Hangの路上ビアホール?で麦酒ごくんごくん。三杯でD18千だからUS$1にも満たず。Tống Duy Tân街の食堂街。食肆Cây SiのQuán Gà Tầnと甘い油條を食す。Quán Gà Tầnは肉骨茶。ホテルまで1km余。気温は摂氏25度くらいで風もあり夏の夜の漫ろ歩きには快適。縁台ならぬ風呂場椅子に坐りよろずの物語りで涼む人々。睡魔に襲はれ午後九時半の早寝。

小さいおうち

小さいおうち

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富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/

*1:戦後の復興で東京周遊の観光バスで「はと」は平和のシンボルだが厳かに終焉を迎へやうとしてゐる石原都政によってよくぞ「大江戸バス」とでも改称されなかつた