富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

iPhone3GSをHK$88で購ふ

fookpaktsuen2010-07-31

七月三十一日(土)晴。陋宅の掃除機が近頃うん/\唸つてゐたが最後は呻くやうな音を立てて昨日ご臨終。太古のジャスコパナソニックの1.8KWの掃除機購ふ。金峰靚靚の及第粥を晝に食す。午後、ジムに行くつもりで出かけたが中環のCSL商店に寄るとiPhone4騒ぎも落ち着いたやうで閑散。iPhone4ぢゃなくて3GSでいゝんだけど、と尋ねると月額HK$287のパッケージ*1でというパッケージでiPhone3GSならHK$88でご提供といふ。1,000円だよ。iPhone4でもHK$888で数週間待ちだけどご提供できますよ、旦那、といはれるがiPhone4の購入はまだ時期尚早だらう。でアタシの場合いつも怖いのは携帯端末とか携帯とかゲットすると「本体より高くつく」アクセサリー購入。普段、ブランド物はあまり購入しないのに携帯のケースがグッチ、ダンヒルPDAの時にはモンブラン、デジカメにダンヒルのキーホルダー……と端末のケースといふのはそのサイズぴったりのデザインのため「転用が効かない」から例えばモトローラ社のV仔(懐かしい響き)使わなくなるとグッチのポーチは無用となりダンヒルのもこれはNokiaの標準サイズだつたため十年近く使へたのが奇跡だが、モンブランPDAの皮ケースは1年くらゐでこれは全く転用がきかぬ。……といふわけで今回も怖いものがあつたがiPhoneの場合、各社ともたヾの皮製の茶巾袋のやうであまり便利でなくダンヒルのは奇抜過ぎてHK$3.5Kだかでさすがに馬鹿らしく、そのなかで唯一、Tumiのシリコン製のケース(HK$420)が実用的でジムで落としても強さうでお買い上げ。そも/\今回、iPhone購入を考えた原因の一つがアタシがジムへ行く時間が他所様にとつては昼間バタ/\してゐたから、と早晩のかなり今日ぢゅうに物事片付けませう、といふ時間で世の中より+2時間くらゐ生活時差のあるアタシはジムにいても電話とiPodの二つ携へるのが厭なことだつた。帰宅してiPhoneのセットアップ。実に簡単。半時間ほどで終はつたが「電話で相手の声が聞こえないっ!」といふ不具合あり。スピーカーとイヤホンでは聞こえるのだが本体の受話口(イヤースピーカー)だけが聞くに能はず。いろ/\調べたがハードヱアの問題かしら。富士康がちょうど労使問題で揉めてゐた頃の製造だし……なんて想像。昨晩の鏞記からのお持ち帰りを肴に夕餉済ます。二更に電影資料館。譚家明監督の映画『烈火青春』(1982年)見る。同館が「捕光捉影──向兩位攝影大師致敬」と題し戦後の香港映画の二人の撮影師、何鹿影(1913〜2003)黃仲標(1945〜)の撮影作品を上映する催しで今晩は後者でこの譚家明の監督作品はホント、ある意味、凄い。レスリー張國榮が出ていなかつたら、もうとつくに埋もれてゐるだらう。香港島南の大潭の海を一望する豪邸*2で怠惰な生活を送る若者。耽美的にレスリーの上裸身を映し70年代後半のATG映画のやうな場面は一転してプールで騒ぐ女子たち。香港らしいドタバタを予想させる。前半は繰り返し、このATGや清順監督のやうな不条理、大林宣彦的な青春と香港のコミカルが繰り返されるは譚家明が整理仕切れないまゝの証左かしら。1982年ってまだ18年前なのにこんなに昔だつたかしら……と暫くして28年前なのに気づきアタシは驚いた。この映画が冒頭からとにかく「日本」印象ばかりが散見される。冒頭からテレビには竹の子族レコード屋レスリーが貼るポスターも日本の歌手のオンパレード、日本語学習、日本留学から戻つてきた従姉……と「なぜこの映画に日本という概念が必要なのかしら?」と今かうして見ると不思議だが1980年代になり香港で日本ブームもあり。この映画に蔡瀾が監修で加わつてゐるのだが前半の日本絡みはまだ当時の香港の世相として許せるが「信介」なる日本赤軍の落ち武者!が登場してからの無茶苦茶は蔡瀾が本当に日本通なら「こりゃないだらう」の連続。不思議な映画はそのあたりからB級サスペンス路線を転がり落ちてゆき殺戮で演終となるが所々に潭家明のダメ出しでシュールな場面が散りばめられるから亦たそれが不思議な作品。今でこそ見ればいろ/\な意味で感慨深いB級作品かしら。
▼(昨日のに加筆)天安門事件(六四)の学運領袖の一人、中国唐山出身の李祿(李録)氏が世界最大の投資持株会社Berkshire HathawayでWarren Buffettの後継者に。米国投資業界の「唐山大地震」とフォーブス誌。安保闘争の活動家が一流企業に、といへばさうだが中国でいかに優秀な若い人材があの天安門に関わつたか、はその後、殊に米国亡命組にビジネスで成功少なからぬことでも明らか。1966年生まれの李祿(李録)は文革で両親が再教育に遣られ養家を転々とするなかで幼い頃を育ち10歳で家族での生活に復したが唐山大地震に遭ひ、その後はグレた時期もあつたが南京大学の半導体物理系に進学し天安門事件。米国に亡命後は英語習得し僅か六年でコロンビア大学の経済学士、MBAと法学博士号の三つの学位を同時に取得。その後、投資業界に進むが才能買はれ少なからぬ良筋の投資顧客紹介され(歌手のStingもその一人の由)、それでもBerkshire Hathawayほどの大会社がこの中国からの逃亡者に経営を委ねるとは……だが20世紀前半も欧州のそれも東欧などからの移民の良材が起業しユダヤ資本が集積され……とそれが米国の伝統的な強さか、と思ふと敢えて米国の覇権脅かす中国の、それも中共に対して対峙する英才*3をトップに据へるとは大胆。王丹は「李祿とは連絡もあまりとってしないが彼の成功は嬉しい」とコメントしたのに対して同じ投資家?のウアルカイシは「ノーコメント」の由。

*1:通話2,500分、800MBのデータ通信、Wi-Fiは当然無制限、IDD通話100分で2年契約。この上のHK$439というのにするとiPhone4でもHK$0となる由。

*2:その後、スターとなつたレスリーが居住したところがこゝだつたが勝景区で出入りが目立ち愛人の唐唐との蜜月をマスコミに騒がれるのを厭つたレスリーは九龍に引越し、そこが臨終の住処となる。

*3:李祿は最近まで六四の追悼や中国民主化運動に加担