富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-07-24

七月廿四日(土)晴。午前中陋宅書室、机に凭り書類整理。晝前に銅鑼湾。丹麥餅店の猪扒飽買ひ食ひ。ジムで運動。バスで湾仔。わざ/\土曜日の午後にまた何故……だが展覧会議中心で開催中の夏恒例の香港書展。香港最大の、一週間で数十万人集める書籍フェアだが、ここ数年はお色気モデル、いわゆる「靚模」の写真集発売に合わせ靚模が登場で「書展に行く」といふとZ嬢に冗談で「旦那、お好きですねぇ」と嗤はれる始末。湾仔の地下鉄駅から歩道橋に上がつてイミグレの建物抜ける手前から行列。いつたん展会中心の建物に入るが「まだ/\」でさらに周囲のビルのまわりをぐる/\と迂回させられ会場に入るのに小一時間。かつてはこの人ごみにわざ/\と書展は遠慮してゐたが、こゝ数年、中文の書籍がかなり面白い本が多く出版社それ/\の積極的な取り組みを書展で見比べるのが面白い。商務印書館、天地図書、三聯書店といつた大手は素通りでアタシの好きな本屋は巨大な会場の裏通りばかり。購入の書籍のいくつか(覚へ書き)

  • モデルはモデルでも靚模に非ず香港の昔懐かしい店舗を超精密にモデル造りする香港微型藝術會の「消失中的香港」が快樂書房から上梓されブースには実際のモデル展示あるのだが本当に精緻。
  • アタシが世界一の水準の都市地図帳だと確信する「香港街道地方指南」を出す通用図書のブースも拝見。キーホルダーの大きさの所謂「豆地図」こちら)など。
  • 信報系の天窗出版社で「地産覇権」はかなりの売れ行き。李嘉誠次男のリチャード王子がオーナーの新聞社から出版と思ふと意味深。
  • 倪匡の「未成書」(黄仲鳴・編)は次文化堂(公式次文化堂|香港人口既出版社)の出版。書展とへば1997年以降、董建華や梁愛詩、劉葉淑儀などを嗤つた政治風刺冊子を出して毎年話題となつてゐた次文化堂はかつてはその冊子一点売りの小出版社であつたが今では書展のブースも堂々の一等地。この「未成書」は倪匡がまだ倪匡といふ筆名使ふ前に工商日報に綴つた1950年代の香港への移民手記。
  • 乗り物系書籍多いブースで「啓徳最後的光景」なる香港啓徳空港の懐古写真集を購入したら店員が「こんなのもありますけど」と展示してをらぬ「再看啓徳 従日占時期説起」という本を見せられ、これが呉邦謀なる方が啓徳空港といへば日本軍の占領期の史実豊富で、それから戦後の啓徳空港の発展史を丁寧に纏められたもの。

何だかぐる/\と気がつけば三時間半も逗留。晩に今日漁つた本をぱら/\と捲りながらBBCのPromsでMaria Joao Pires*1の奏でるショパン夜想曲集←格別、(香港フィルでも客演の)Jiri Belohlavekが指揮のBBC P.O.の演奏でPaul Lewisによるベートーヴェンのピアノ協奏曲1番と4番を聴く。
▼鏞記兄弟確執(続き)。鏞記の謂はヾ「執笠」狙ふ次男本人に兄の持ち株買ひ取るHK$10億がないとしても香港で格別の鏞記であるから誰か「白馬の騎士」現はれ次男坊に資金提供もちかければ強ち長兄追ひ出しも可。さうなると亀ゼリーの老舗のやうに海天堂と海天堂(大家姐監製)のやうに鏞記と鏞記(大阿哥監製)の二つの焼鵝になつてしまふのかしら、と信報(独眼新聞)。

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*1:香港で2007年の8月にリサイタル:コンサート評 http://www.concertonet.com/scripts/review.php?ID_review=4239