富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-06-15

六月十五日(火)いつ大雨になるかしら、の曇り空。諸事にかなり忙殺されたが強制終了で早晩に香港大学大学図書館で書類整理。魯迅記念館編「魯迅日文作品集」(上海文芸出版社、1981年)なる書籍見つけ借出。題字が宋慶齢。勿論その人の語学力あつてのことだが1902年からわずか七年半、仙台と東京に滞在の魯迅の日文の見事。「序」には言葉と文字は道具であり道具は精緻であるべきで母語こそ使ひ易いがマルクスとエンゲレスが英文で論文執筆したやうにツルゲーネフがフランス語用ひたやうに、ある条件下に於いては外語の方が母語より適当な場合もある(思考と記述には母語だとか外語といふ区別以上の思考と表現言語の関係がある、とアタシは思ふが)凡人にはさう易々とは倣へぬ。N博士に招かれ莫逆なる面々で構内のKK Leung樓にあるSenior Common Roomで食事会。政府系某組織、編集者等等とZ嬢。偶然そこに研究の合間に食事に来られN博士に紹介されたのがSさんで実に廿年ぶりの邂逅で今では東京外大の教授になつてをられた。笑談款語尽きず午後九時半まで。北角までバスで走り小腹空き魚蛋粉食し北角場外で明晩のPrince of Wales's Stakes(Ascott、G1)はドビッシー(最低人気の25倍)の単勝一点買ひ。N博士に「周作人随筆」拝借。富山房百科文庫もかなりお洒落になつてゐること知る。
▼香港から50kmにある大亜湾原発で五月下旬に放射能漏れ事故ありと香港紙報じる。冷却水の放射性ナントカ濃度の上昇ださうで発電所側の見解は「事故ではない」ので報道せず、と。「想定内の対処できる異常事態」って概念は一党独裁の自由なき世界では結構使ひ勝手良い表現かも。

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