富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

いつまでも過去を軽んじていると、やがて未来からも軽んじられる

陰暦五月初一。晴。午前中Z嬢と106系統のバスで九龍に渡り紅磡から土瓜湾を抜け九龍城。タクシーで九龍塘のバプティスト大学。所用済ませ昼に散歩しながら石硤尾まで歩く積もりが暑さ猛々思はずタクシーで南山邨。南豐茶餐庁で昼を済ませ毎年のことながら端午節を前に「嘉湖」で注文してをいた粽を受け取り。104系統で中環に行くといふZ嬢と別れ地下鉄で銅鑼湾。所用済ませ夕刻、The Lee Garden地下のGroumetなる食料品店に寄るとリキュール類も香港にしてはそれなりにあり葡萄酒が意外と安い。ふつうワイン売り場の中でもガラスの向こうのワインセラーには高級な葡萄酒がずらりと鎮座するものだが何気に除くと100ドル台の葡萄酒までそこに並びコンビニの定番、HK$82のJacob's Greekまであつたのには笑はされた。晩は自宅で野菜やピーマンの肉詰めなど食し豪州のClonakillaのシラーズ 07年飲む。自宅でのかうした料理にはシラーズが合ふ、と実感。Steven IsserlisがStephen Houghのピアノで弾くブラームスチェロソナタ1&2番を聴く。文藝春秋七月号少し読む。お茶の水の藤原某「日本国民に告ぐ」は愚論中の愚論。井上ひさしの闘病中の日記の最後の文章は
過去は泣きつづけている−−−−
たいていの日本人がきちんと振りかえってくれないので。
過去ときちんと向き合うと、未来にかかる夢が見えてくる
いつまでも過去を軽んじていると、やがて未来からも軽んじられる
過去は訴えつづけている
東京裁判は、不都合なものはすべて被告人におしつけて、
お上と国民が一緒になって無罪地帯へ逃走するための儀式だった。
先行きがわからないときは過去を勉強すれば未来は見えてくる
瑕こそ多いが、血と涙から生まれた歴史の宝石
「いつまでも過去を軽んじていると、やがて未来からも軽んじられる」は前述の藤原某に投げかけたい一言。それにしても肺の三分の二に水が溜つたら、もうお終ひ。それを患者を羽交い締めにしてまで胸膜に管を通しステージ4に近い3の癌者を助ける、それが医療か。
▼次期中国大使の丹羽宇一郎氏が「2015年中国バブルに日本の勝機あり」と(文藝春秋七月号)。日本が中国に負ける、上海万博が終わったら中国経済は崩壊する、といつた悲観論を排し今後の中国の経済成長で中国が中位安定経済成長に入つた時こそ日本の製造業の技術力、高い水準のサービス業が中国ビジネスで勝機がある、と。だが総体としての中国経済に今後勝てるはずもなく「勝機」に非ず「商機」だらう。丹羽氏は最後に安全で美味なる食材に恵まれ治安が良く教育水準が高い日本は(四季折々風光明媚もある)世界中からモノや人が集まる「21世紀の楽市楽座」になるだろう、と夢見る。確かに安全、水と食材、美しい空気は中国の富裕層にとつて魅力大。だが日本がその中国の経済侵略を許せるのか、楽市楽座になるための規制撤廃や外国人受け入れが出来るのか……中国語どころか(本来は漢文で十分会得できるのだが)、英語の普及すらまゝならず何をか言はむ哉、だらう。

Hough & Isserlis Play Brahms Sonatas

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文藝春秋 2010年 07月号 [雑誌]

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