富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

イッサーリス師匠のチェロとトルトゥリエ指揮の香港フィル

fookpaktsuen2010-06-11

六月十一日(金)晩に天后。華姐清湯腩に普段なら腩河だけだが殊更空腹感あり晩なので気張つて菜飯も注文して菜飯を腩河のスープで頬張るのは格別。地下鉄で尖沙咀。文化中心。Z嬢とチェロのSteven Isserlis(スティーヴン=イッサーリス)招いた香港フィルの演奏会。指揮はYan Pascal Tortelier(ヤン=パスカル=トルトゥリエ)で今晩は密かにあの香港フィルでも奇跡起きるのではないか?と一寸だけ期待。先づはベルリオーズの「ロミオとジュリエット」から「愛の場面」「愛の妖精の女王マブ」と「キャピュレット家の墓地におけるロメオ」。トルトゥリエさんの指揮は演奏するのは君たちなのだから、と楽団の盛り上げ方に長けエド=デ=ワルトさんに鍛えられ=苛められ亀治郎君の芝居の如きペリー君の如き指揮にも煽られぬ香港フィルにはこの指揮者は合うかも?と。中入り後にイッサーリス師匠登場でドビッシーのSuite pur Violoncell et Orchestre(編曲はSally Beamish)。一度聴いただけでアタシは評は控えるが何ともこのトルトゥリエさんがこのチェリストの演奏を引き出すのに何が必要なのか、がわかつてゐるから。アンコールに応へラヴェルのチェロとオーケストラのための……これもラヴェルのオリジナルからの編曲・曲なのだがラヴェルのこのへんの曲に全く疎いアタシには曲名も不明(イッサーリスさんの祖父からのロシア訛り?の英語も聞き取れず)ただゞイッサーリス師匠のチェロに二列目で聞き惚れる、といふ以外に今晩の言葉もない。更にアンコールに応へドビッシーの小曲をイッサーリスお得意のガット弦で。イッサーリス師は五月の日本公演は親族の体調不良で休演の由。香港はかうして演奏されたがあと百回くらゐアタシは聴かないと今晩の興奮も言葉に出来ぬし、さらにラヴェルやドビッシーを好きと言ひつゝ全く承知してをらぬこと痛感。最後にラヴェルのLa Valseはこれまで数回、香港フィルで聴いてゐるが今晩のは出色。但し後半、打楽器入つてからは円舞曲がかなり縦割りのプロコフィエフのといふか社会主義リアリズムのやうな演奏。偶然なのか敢へてトルトゥリエさんの遊びなのか、が不明。いづれにせよアタシの苦手な香港フィルが今晩は面白かつたのは事実。帰宅後今晩コンサート会場で購入のイッサーリスさんのバッハの無伴奏チェロ組曲を聴く。何とも浄瑠璃の三味線の如し。

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