富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-05-29

五月廿九日(土)曇りのち雨。午前中陋宅ニテ書類整理。午後一つ仕事済ませ晩夕に湾仔会議展覧中心。Z嬢とHK Int'l Art Fair参観。本来は現代美術品展示販売が目的だが物見遊山の客で(ってアタシらもさうだが)盛況。提供のVeuve Clicquotの三鞭酒一杯HK$120がプロ野球の生ビールのやうにがん/\売れてゐる。とにかく中国のコンテンポラリーアートが「まだ」元気。Ota Fine Artsのご主人、K嬢にご挨拶。草間彌生女史は来年はTATEだもの、老ひてなを盛ん。草間「かぼちゃ」が一昨晩のオークションでHK$50〜70万と出てゐたが「昔ちょっと無理してをけば」なんて皮算用に非ず「もう欲しくても手がでない」。驟雨。フェリーで尖沙咀。雨を厭ひOcean TerminalのBLT Steakなんて食肆に入るがアタシとZ嬢ではサラダとハンガーステーキを半分ずつで十分。西鐵で閑散たるAustin站に往き寂しい歩道橋歩き九龍站の圓方。二更に脚本:宮藤官九郎、監督:水田伸生の映画『なくもんか』(2009)看る。阿部サダヲの濃い演技覚悟。(以下ストーリー言及あり)東京の下町「善人通り商店街」の「デリカの山ちゃん」で家出してゐた娘・徹子(竹内結子)がひょっこり帰つて来るだけでドラマであるし(向田邦子ならこれで十分)意外や偶然は阿部サダヲ演じる主人公(祐太)の生き別れの(ってまだ生まれてゐなかつた)弟(瑛太)が売れっ子漫才師になつてゐた、ってそれだけでもう出来過ぎ。ここでまとめれば良かつたが宮藤官九郎はバカがつくくらゐお人好しの祐太が実は夜な夜な場末のゲイバーのママに化けることでストレス発散といふ女装癖、更に沖縄へ舞台を移し……がてんこ盛り過ぎ、で後半は筋を広げすぎで面白くも何ともないのが残念。宮藤官九郎くらゐ巨匠になると(松ちゃんも一緒だが)筋とか、周囲で「ちょっと詰まらないですよ」ともう誰も言へないのかしら。「泣ける喜劇か、笑える悲劇か」って、後半の展開の下手で「笑えない悲劇」になつてしまつてゐる。

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