富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-05-25

五月廿五日(火)晴。早晩に銅鑼灣のCrowne Plaza Hotel 屋上のバー。ハッピーヴァレイ競馬場側の眺めが良いとは聞いてはゐたが驚くほどのアングルから思ひつきり。ハッピーアワーで白葡萄酒二杯。Z嬢来たがこのバーは19時から貸し切りの由。でThe Lee Garden IIのHabitu Cafeで一杯。アタシはBacardi 151のラム。そのまゝそれなりの某所で日本料理食したがかなり今市。揚げ物はだい/\その食肆の腕がわからうと試しにトンカツと天婦羅を単品で頼んだのだが。帰宅して風邪気味で早寝(っていつもだが)。
▼マスコミの陳腐な「激増する凶悪犯罪」とか、いつも「そんなことはない」はずで「お江戸日本橋でも通り魔殺人はあつたらう」と言つてゐるアタシは「深刻化し増加する自殺」もそう易々と信じないが、昨朝の17歳の中学4年の男子生徒の自殺には問題の深刻さ東涌の天主教中学の校庭で全校朝会の最中、校舎七階から校庭に向けての投身自殺。その50分前にブログに綴られた遺書。この若者「良い子」だつたが一年前、情緒不安定となり精神疾患とされ一年休学。治療のための通院と精神安定剤服用をしてゐたが症状は安定とされ最近は通院も二ヶ月に一回となつたそうな。復学したが今月七日の「敬師日」(って何だ、それ?)に(学校の企図通りに!)同級生が教師に対する感謝の言葉陳べる際にマイクを奪ひ学校や教師への不満など吐露するなど「好ましくない」行為あり学校側は先週月曜(17日)に保護者呼び彼の規則違反により停学処分伝へ二日後に復学許す条件として学校はこの生徒に全校生徒の前での教師への謝罪を言はせ毎日、教師の前できちんと精神安定剤服用を課した由。この生徒は承服できぬまゝ昨日復学した、その日の朝のこの悲劇。明らかに学校側の指導に問題あり。この青年のブログには「我的一切與所有,我是狼、是神,結束一切與改變一切的神」と題して五千字の遺言。精神病院に入院させられた時の恐怖を「雙手與雙腳也被綁了……我失去自由了,被世界的人拿走了自由」と綴る。「如人若說我有罪,那必先定下你自己的罪;如人若說我是錯,那必先找出錯誤的源頭。」……「死んでやる」くらゐと言つてはナンだが若い時に一度くらゐ情緒不安定はあつても不思議ぢゃなければ、精神安定剤の投薬治療も十代には疑問といふ精神科医の意見もあり。何より学校の刑務所的な(ってフーコー的には学校も教会も同類だが)装置と作用にこそ問題あり。
▼今年に入り十一人目の自殺者の出た富士康の深圳工場。信報が昨日から二日に渡り特集記事掲載。それによれば昨年までに北京や湖南、山東で十人近い自殺者があり、なぜにそれが注目されなかつたか、といへばこの企業の地元党政府による便宜供与と報道統制。富士康が中国国内の工場で雇用は実に八十万人。その半数が深圳だが地元政府にしてみれば富士康の法人税が多きく工場と地元党政府の幹部の癒着もあり。また工場の「保安部」「安全部」は名ばかりで実は職工管理、リンチのやうなケースもあり、と。そこでiPhoneだのアップル社の先端ディヴァイスが作られてゐるのだから。夢と現実のそのギャップ。

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