富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

社会主義的搾取には限界がない

fookpaktsuen2010-05-15

五月十五日(土)曇。午前、午後と寄席かけもち。夕方整体按摩。早晩にZ嬢と天后。佐敦の亜龍咖喱の分店に食す。美味い店が繁盛で下手に分店出したり店舗網拡大はあまりよろしくないが一先ず天后の亜龍咖喱は佐敦と同じ味で壁に書かれた経営信条まで手書きで一緒。晩に「バーテンダーズマニュアル」読了。
▼「資本主義的搾取には市場的限界があるが、社会主義的搾取には限界がない」……宇沢弘文先生(朝日新聞)。御意。1980年代初めに瀋陽郊外の農村で当時始まつたばかりの請負生産制調査の宇沢先生が知つた共産党幹部による搾取。この「社会主義的搾取には限界がない」と題した報告書を党中央に提出した先生。北京に呼び戻され党幹部に厳しい査問受けたが末席で「宇沢教授の主張には一理ある」と弁護したのが幹部のなかでは若い趙紫陽。その後、総書記になつてからも宇沢先生は中南海の邸宅に招かれ、一度、従前からのいくつかの五カ年計画の全てが失敗したと話題にした総書記に宇沢先生は「党中央は常に誤謬を犯すといふ前提に立てば、それまでの五カ年計画の失敗は合理的に説明することができる」と指摘(そんな聊か強引な)。趙総書記は政府の資料データを全て見せるから研究を、と宇沢先生に託し宇沢先生は調査まとめ発表の予定が1989年7月に北京で開催予定のシンポジウム。……言を要すまひがその直前に天安門事件起り趙紫陽失脚で宇沢先生の決定的な指摘は日の目を見ず、と。「資本主義的搾取には市場的限界があるが、社会主義的搾取には限界がない」は名言だが趙紫陽との逸話は趙紫陽回顧録などに記述あるのかしら……あつたらアタシも知つてゐるだらう。今となつては宇沢先生以外誰も確かめられぬ話か……と思つたが温家寶首相がゐたわね、趙紫陽側近だつたのだから。宇沢先生とへば「自動車の社会的費用」。高校生の時に現社のレポートでこれ讀んで出したのをふと思ひ出す。今もつて「自動車なし」のアタシに多少の影響与へたか。鉄道好き、酒好き、散歩好き、運転するなら本を讀みたい……いろ/\「自動車なし」の理由はあるが。それにしても理由はどうであれまさか若者の「自動車離れ」なんて社会にならうとは……宇沢先生も驚いただらう。

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

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