富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-05-03

五月三日(月)快晴。朝日新聞が「九条改正67%反対」と謳へば讀賣新聞
八方ふさがりの日本。いま、憲法改正論の暇はない、と言う人は少なくないかもしれない。だが、こうした時代だからこそ、国の統治の基本を定めた憲法の問題に立ち返ってみることが必要ではないか。
とお目出度ひ。ナベツネ他界までずっとこの調子かしら。上海万博は予定調和的に「列に並ばず」「長蛇の列に建物の蔭に寝転ぶ」中国人参観者のマナーの悪さと万博の混乱ぶりをマスコミが流して「やっぱり中国人は……」と日本の皆様が溜飲を下げる。香港鼠楽園開幕の時の同じか。正門を乗り越へ赤ん坊に公然と小便させた十数年前より多少マナーが改善されたのかしら。日本とて終戦直後は買い出しで列車に人々が殺到し駅のフェンス乗り越え子どもの路上での小便などアタシの子どもの頃は当たり前。何を中国人を嗤えやう哉。上海万博の会場地図(こちら)眺め興味深いのは中国の対米覇権意識。「世博軸」なる中心軸に面するのはエクスポセンターやテーマ館、世界文化センター、ショッピングセンターを除くと国家単位では主催国たる中国(香港、澳門含む)と微妙に国内と国外のぎり/\に配置された台湾のみ。アジア近隣の韓国と日本、それに金日正将軍の今朝の専用列車での中国入りが妙に大時代がかる北朝鮮の展示館は中国の後塵を拝し位置するのは当然か。それに対して中国が覇権を脅かす米国はとんでもない会場の端の端。動物園の掃除用具倉庫のやうな位置。1970年の大阪万博アポロ11号の月の石で(たかだか石一つで!)日本政府館なんて相手にもならぬくらゐ米国館に群衆殺到とは大きな違ひ。あらためて大阪万博の会場図(こちら)眺めると英国館の隣に香港政庁館!(写真左)があつたのはアタシは全く知らずにきたが(万博開催中に香港政庁館で五千万円相当の宝石盗難あり!)さすが「日本の美徳」で日本政府館は東端に位置し各国と日本企業のパビリオンを混成で上手く配したやうに見える。唯一政治的なのは米国館とソ連館が南北に遠く対峙した感じが冷戦時代らしさ。話は戻るがとにかく上海万博で誇示するのは今世紀の中国の国力なのだらう。アタシにはどうでもいゝが。
▼今日の信報が報じるのは「中国館入場券五万枚の謎」について。開幕から連日、一日五万人分の入場整理券が開幕と同時にわずか10分で捌けてしまふ人気。信報曰くボランティアスタッフが五万枚の券をかりに二秒に一枚(一分間に30枚)の快速で配ったとして10分で配り終へるには167名のスタッフが必要。だが167名だか群がる参観者の争奪戦のなかで整理券配るのは50名にもはるかに満たぬスタッフ。もし50名で二秒に一枚で配つたとしたら五万枚配り終へるには33分要すはず。50名が10分で配れるのは1.5万枚。つまり公称五万枚の入場整理券が配られてをらぬのは確かで何万枚が裏で関係者等に流れてゐるのか、と。
▼1986年に20代の世代が10年後の1996年に31〜41歳になつた時にその実質平均収入は10年で116%の上昇。つまり年収100万円なら216万円に倍増。しかし1996年に20代の年収は10年後で52%しか上昇せず。更に深刻なことは2006年の20代の平均収入が十年前の同世代の収入から上昇がないこと。主に経済成長があるが個人の経験累積や昇級など努力要因もあつたのが解消されてしまつたことで社会流動性の停滞。(信報)

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