三月十九日（金）早朝かなり久々にJ-WAVEのジョン＝カビラ氏のTokyo Unitedに電話でしゃべり。晴れ。久々に心地よい快晴。早晩に尖沙咀。Ｚ嬢と数ヶ月前に開店のとんかつ専門店に食す。「銅鑼湾のとんきちの方が美味い」と下馬評は聴いてゐたが確かに。普通の日本料理屋でとんかつを食べた感じ＝とんかつ専門店と思ふとちよつと物足りず。銀座の本店も立地と見た目の格だけは一等で香港も「さもありなむ」の感。茶碗も安つぽくプラスチックの箸でとんかつは食べづらい。ちよつと覗けた厨房で冷蔵庫から取り出された冷酒はペットボトルから徳利に注がれてゐる……キョービ、そんなのもあるの？ 一升瓶に比べ冷蔵庫で保存し易いので酒がペットボトルに入れ替へられてゐるとしたら寂しい。アタシは最近、コンサートや芝居の前に酒を飲むともう眠くてどうしやうもないので今晩も酒は控へる。重慶マンション地下の岡田珈琲。熊本の老舗の珈琲屋が香港に出店は板前鮨のリッキー社長が同じ熊本の味千ラーメンとの関係で熊本訪れた時に直談判され香港進出の由。久々に日本の珈琲。京都のイノダコーヒーに近い味かしら。ところで重慶マンションつて昔から地下があつた？とＺ嬢は「あつたでせう」と言ふが四半世紀前にバックパッカーで重慶マンションに何度か下榻のアタシも地下の記憶があまりない。香港文化中心。フィルハーモニア管絃楽団の香港公演。アタシがクラシック聞き出した頃にフィルハーモニアといへばムーティの時代。その後を仕切つたのが今晩指揮のクリストフ＝フォン＝ドホナーニで、この人はジョージ＝セルのクリーヴランド管絃楽団をマゼールから引き継ぎ、それからフィルハーモニア管絃楽団の首席指揮者となつたがこゝも今ではヱサ＝ペッカ＝サロネンに首席の座を譲りドホナーニは終身名誉指揮者。その82歳のドホナーニが振るはずだつたが体調不良で今回のツアーの指揮はファビオ＝ルイージに変更と数日前に告示あり。このルイージは維納交響楽団の首席指揮者の由（www.fabioluisi.com）。まぁどうなることかしら。入場すると近くの二階席中央に許仕仁氏夫妻。音楽もそりや好きだらうがパンフレットみたら香港芸術祭の執行委員会副主席でプログラム委員会の首席で実質的な統籌がこの御仁。フィルハーモニア管絃楽団の演目は昨晩はベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調（K364）とシューベルトの「偉大」なのに対して今晩はメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」序曲は聴いて「あ、この曲がこれ」と初めて認識。ルイージの指揮はまるで手塚治虫のアニメに登場する指揮者のやうに抑揚が大きい。このオケは今はサロネンが指揮してゐるのだからドホナーニの時代よりはこの指揮者に合はせやすいかしら。この人なら続くブラームスの三番の第三楽章ポコ＝アレクレットはさぞや上手にするだらう、と思つたら期待通り。たゞ欲をいへば第四楽章アレグロはあのエンディングはまとめきれなかつた感あり。このアレグロはドホナーニの指揮で本当に聴きたかつた。中入り後はシューマンの二番。アタシはあまり好き好む曲ぢやない。第一、二楽章の「やりすぎ」が苦手。でも、これくらゐのオケが奏でると「なるほどなぁ」と感心して聞き入る、悠長な第三楽章のアダージョエスピレッシーヴォ。このファビオ＝ルイージなる指揮者はまだ50歳くらゐで今晩の演奏ではやはりいづれの交響曲も第三楽章が良かつた。が、やはりドホナーニが82歳で（ブラームスの三番はまだ想像できるが）このシューマンの二番などどう演奏してみせるのか、が、やはり楽しみであつた。オケは力量を思へば代演の指揮者で、といふよりこの弾いて愉しくないハコと、気軽で、悪くいへば聴く姿勢すら悪しき聴衆を侮ったかまだ／＼八分の本気と見えたが如何に。ちなみに香港の後はムーティの指揮で欧州、四月下旬からはアシュケナージ指揮で中国から韓国を巡業し五月下旬はサロネンが率いて日本ツアー、とまぁ豪華。
▼尖沙咀の天祥撮影器材。かつて東英大厦にあつた徠卡やハッセルなど扱ふ香港でも有名なカメラ店。東英大厦の立て直しでCarnarvon Rdに移つたが此処では中古は扱はず。今日立ち寄れば徠卡のMシリーズのM９発売に合はせた厚いカタログ一冊だけ残りあり頂戴する。で店を出て歩いてゐるとMody Rdにライカの看板掲げたカメラ店あり「えっ？」と思ふと中古をだいぶ多く扱ひ天祥撮影器材と看板にある。だうやら天祥の分店出来てをり中古部門の由。さつそく中を覗く。陳列の品はそれほど多くないが、さすが天祥で質の高いクラシックカメラばかり。Artisan & Artistの革製アクセサリーなども扱ふ。Mody Rdでもホリデーインを曲がつてすぐの好立地で中古カメラ屋とはそれほど商売があるのかしら。ちなみにこの場所はかつて福和煙草（タバキーラフィリピーナ）のあつた店舗。
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