富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月四日(月)今年は元旦のあと土、日で日本でいへば三が日。で明けて今日、どうせ何か突発的なことが起きるだらう、と思つてゐたら「来た〜つ」といふ感じで面倒な仕事請け負ひ。晩に銅鑼湾のPホテル。ロビーで出張で来港の旧友中野Y氏に再会。リングキューブで買つてきてもらつたリコーの手拭ひを受け取る。「リングキューブ」つてどこか「大人のおもちゃ」みたいな名だが銀座四丁目の交差点、三愛のビルにあるリコーのショールームで、其処でGRの手拭ひを販売。関係者の話では初代のGR Digital発売の時に長徳先生の意向あり手拭ひといふ紀念品が作られたとか。Y氏とはまた後日、で近くで誂へのシャツ受け取り。開襟シャツはほんと市販のものが入手しづらくなり(今世紀初は無印にあつたが)最近は専ら誂へ。十合百貨店の旭屋書店でカメラ雑誌受け取り。受け取りが三つも続き帰宅。Pouilly-Fuméの何とかの白、若過ぎの2008年でグラタンなど食す。
▼アサヒカメラの一月号は松島屋さんが吉田屋の伊左衛門(夕霧は大和屋)。一瞬、先月の南座の顔見世の舞台写真をもう表紙に?と思つたが廓文章は掛かつてをらず篠山紀信が撮影の『十五代目片岡仁左衛門』(小学館)からの豪華グラビア。そりや松島屋を褒めるには言葉もいらぬが篠山紀信といふ人の写真は本当に好き嫌ひは別にして対象が松島屋でも大和屋でも宮沢りへでも週刊誌の美女グラビアでも、どうであれいつもの「篠山紀信の」になる。もう三十年くらい昔、何の雑誌だつたか伊丹十三編輯の『モノンクル』だつたか、テーブルの上のちよつとしたオモチャでも「光をかうするとね……」とちよつと明かりの当り具合を変へて篠山紀信が撮つたら見事に雑誌の表紙に耐へる写真になつた、といふのがあつたのを、ふと思ひ出す。昨晩読んだ荒木経惟『写真の旅』がピンとこなかつたが不思議と篠山紀信を「詰る」部分だけは納得してゐたアタシ。

アサヒカメラ 2010年 01月号 [雑誌]

アサヒカメラ 2010年 01月号 [雑誌]

富柏村サイト www.fookpaktsuen.com
富柏村写真画像 www.flickr.com/photos/48431806@N00/
http://twitter.com/fookpaktsuenhkg