富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十一月初七。冬至。早晩にFCCに往く。ハイボール一杯。新聞読み。某忘年会開催をFCCとし末席を汚す。血圧気になりアルコールはかなり自重。
内田樹『日本周辺論」新潮新書。未読だが朝日の書評(佐々木俊尚、二十日)の指摘が面白い。日本文化の「昔から」(と断定してしまふのは危険だが)軟弱さと傍観者的なところの背景には権力が常に「世間」「空気」のやうな不定形の存在でしかなく(これは「昔から」といふより丸山眞男的には「戦後は」と言ふべきかも知れないが)参加の実感が薄く、それは権力を(権力装置を、と佐々木氏は言ふが精確には<権力>だらう)血みどろの戦ひで獲てきた欧米とは異なり、特異なる点は、さういふ文化構造を日本人は自嘲し、中心的でないことにその酔狂な独得を寧ろ誇らしげに感じてゐること、と。これはアタシのやうな陋巷に在る民草にもいえること。樹先生はそれを、ネグリ=ハートの<帝国>概念引いて国民国家のグローバリゼーションでの帝国化に対して<辺疆>に孤立する日本を語つてゐる由。
天皇皇后両陛下と皇太子夫妻、秋篠宮一家、黒田氏夫妻らと一緒に横浜の「こどもの国」訪れる(十九日)。お召し列車か、ミニSLに一族でお乗りになるは団欒といへば微笑ましいが何かと不和など取りざたされるご一家が遊園地でミニSLなのが何とも……。軋轢は外的要因多し、で子どもが幼い頃なら楽しく遊園地で遊ぶ、の光景の彷彿のやう。誰が考へたのか、あまりにお寂しい。天皇といへば中国の周近平副主席の来日で陛下との面会が「一ヶ月ルール」破るもの、と民主党への批難あり。民主党にも問題があるが野党自民党もそれを政争の具にしてゐるのは天皇の政治的利用(保坂正康)。さらに御厨教授は中国政府も<天皇>を歴史的には批判し現実的には会見で権威づけに利用してゐること指摘し「そもそも天皇制は、少しの衝撃でたちまち壊れてしまふほど脆い。国民主権、あるいはデモクラシーと天皇は、際どいところで何とか両立してゐる。ある種の配慮と案配を尽くして初めて成り立つ制度だといふことを、現政権は肝に銘じてほしい」と述べる。御意。天皇制も戦後民主主義憲法九条も同じだらう。
▼連日「マカオ」ネタ続くがマカオで二代目の行政長官就任の崔世安君が行政長官就任を胡錦濤国家主席の前で宣誓した際の普通話の拙さ失笑かふ。慥かにアタシが聞いてもこりや拙い。胡錦濤はんもこの宣誓によくぞ笑はなかつた、さすが国家主席、と感心されるほど。蘋果日報は(信報の)曹仁超、歌手の古天樂とこの崔世安を「普通話三差口」と笑ふ。

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